サッカーのブラジル五輪代表(セレソン)が南米地区予選の最終戦で敗退した。2016年リオ、21年東京と五輪2連破の状態だったが、パリの地を踏むことなく3連破の夢は潰えることとなった。
五輪予選に関しては、とにかくラモン・メネゼス監督の不手際が目立った。パスサッカーを伝統的な持ち味とするセレソンとは思えないほどパスがつながらず、とにかく点が取れない。辛勝を続けながら、なんとか最終戦まで五輪出場に望みを繋げていたが、いつ脱落してもおかしくない危うい試合ばかりが続き、コラム子も熱中して応援できなかった。
サッカー大国である伯国が五輪3連覇できなかったことは当然悔しい。だが、コラム子にとってそれ以上に残念だったのは、注目度の高い五輪という舞台で、現在のブラジルサッカー界が誇る未来の黄金コンビを披露できなかったことだ。
そのコンビとはもちろん17歳のエンドリック、そして18歳のヴィトル・ロッキのこと。この2人が南米予選で揃い踏むことが出来なかったのは、南米予選にロッキが出場できなかったためだ。
ロッキはちょうどこの1月から名門バルセロナFCに移籍したばかり。すでに戦力として計算され、期待も高かったために五輪予選に出る許可が下りなかったのだ。
そのため、セレソンの試合はエンドリックが主体となった。エンドリックは全得点のほとんどでゴールかアシストを決めておりチームの中心として活躍した。
だが、チーム最年少の彼に釣り合う戦力が他にいなかったことは否めず、ワンマンチームの中でボールが回らずに一人で孤立する場面も見られた。予選最終アルゼンチン戦での致命的な失点は、ラモン監督の不可解な采配でエンドリックがグラウンドを下がった後に起きたもので、エンドリックに敗因をなすりつけるのは筋違いだろう。
だからこそ思う。もしロッキが同じグラウンドに立っていたら、エンドリックもはるかに楽に試合に臨むことができ、南米予選も苦戦することなく楽に勝ち抜けたのではないかと。
そして、もし五輪に出場できていたならば、それはエンドリックがレアル・マドリッドに移籍する直前になるはずで、移籍直前にその勇姿を世界に披露する絶好のチャンスだったのだが、それを失ってしまった。五輪ならばロッキも出場していたであろうだけに、さらに残念だ。
考えるほどにつくづく惜しい。これはもういっそのこと、パリ五輪の次の2028年ロサンゼルス五輪で黄金コンビを実現させるようにした方が良いのではないだろうか。奇しくもその時点でロッキは23歳、エンドリックは22歳。年齢制限23歳以下の五輪規定は超えていない。(陽)