ペトロブラス=アフリカ再参入を模索=過去の失敗から業界懸念

ジャン・ポール・プラテス総裁(Foto: Pedro França/Agência Senado)
ジャン・ポール・プラテス総裁(Foto: Pedro França/Agência Senado)

 15日付ヴァロール紙(1)は「アフリカに近づくというブラジルの新たな試みは、今週のルーラ大統領のエジプトとエチオピアへの公式訪問によって強調された戦略であり、この地域を離れてから4年後にペトロブラスがアフリカ大陸に戻る瞬間と一致する」と冒頭から問題提起した。
 同社は過去のPT政権時にも大規模な国外投資を行ったが、それに伴う政治的リスクを適切にコントロールできず、損失や汚職の発生にもつながった過去があり、業界内部からは疑問視されていると報じている。
 ペトロブラス社(PB)は先週、ギニア湾に位置する島国であるサントメ・プリンシペの探鉱鉱区三つの権益を買収する契約を締結したと発表した。昨年12月に公表された同取引は、シェル社主導による競争プロセスで行われ、PBはブロック10と13の45%とブロック11の25%を購入することになった。シェル社は各ブロックの40%、サントメ・プリンシペ国家石油庁も各ブロックの15%、ポルトガルのガルプ社はブロック11の20%の権益を保有している。買収価格は公表されていない。
 PBの探鉱・生産部門の責任者であるジョエルソン・メンデス氏は、ジャン・ポール・プラテス総裁の指導の下で行われたアフリカへの再参入の決定がブラジル政府がアフリカ諸国との商業関係を再開する方針と一致したのは偶然とし、組織内の方針や決定は独自のビジネス戦略に基づいて生まれた計画であることを強調。同社のガバナンスにはより上部からの指導が入り込む余地はないとも語った。
 同社はアフリカでの事業拡大を行う理由として、技術的な要因や埋蔵量の補充の必要性も挙げているが、同社の上級経営陣と関係がある情報筋は、この新方針に懸念を表明している。彼らはPBのリスク分担戦略は不明確で、国際地域に向けた管理体制をとっていないこと、石油埋蔵量の多いアフリカ諸国との関係はこれまでもかなり非公式なものであり、アフリカ諸国の権威主義的な政権が同社の利益に反する可能性があることなどを指摘している。
 2015年以降、同社は負債問題に直面し、多くの国での事業から撤退した。その結果、アフリカ大陸での事業も20年に終了し、現在はオランダとシンガポールに事務所を置き、主に欧州とアジアでのプレゼンスを維持している。さらに、ボリビアやコロンビアなどでの石油や天然ガスの探鉱・生産、商業化・販売を行い、米国でも事業を展開している。
 一方、ペトロブラス社は国際市場での競争力を維持し、埋蔵量の補充を図るために、国外での事業拡大を必要としている。この動きは、ブラジル国内の岩塩層下(プレサル領域)油田が成熟期に入り、今後大規模な発見が見込めないことを考慮した戦略だ。
 過去の失敗から得た経験を活かし、同社の技術チームは、海外での事業展開に関するデータ分析や地域調査を行い、先進的な技術を駆使し、最適な投資先の見極めを行っているという。

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