経済危機に直面したアルゼンチンは、ブラジルからの輸入を激減させており、23年の同時期と比較すると25%の落ち込みとなった。2024年1月にはブラジル製品の対アルゼンチン輸出が総額7億6700万ドルだったが、これは21年以降で最低の数字で、代わりに中国との取引が増加中だと15日付G1サイト(1)が報じている。
自動車部品、自動車、大豆、紙などが、ブラジルがアルゼンチンに最も輸出している製品だ。ところがアルゼンチンの長期にわたる深刻な経済危機により、これらの輸出が急激に減少している。
教育調査研究所(Insper)のオットー・ノガミ教授によると、アルゼンチンはドルの外貨準備高が不足しているため、貿易手続きを増やして自動車などのブラジル製品支払いを困難にさせており、この状況がすぐには変わる見込みはないという。それに対して中国は自国通貨の人民元を使ってアルゼンチンとの直接交易できる契約が結ばれており、中国製品輸入の地歩を固めている。
「アルゼンチンは主要な穀物生産国であり、中国への輸出によって人民元を受け取り、その人民元を使って中国で生産された製品を買う循環がうまれている」とオットー氏は説明した。
ミレイ氏は大統領当選前、ブラジルや中国との関係を望んでいないと発言していた。だが最近では、アルゼンチンのルイス・カプト財相が、自国の危機を乗り越えるためにはブラジルが必要であり、両国のライバル関係はサッカーだけにとどめるべきだと述べるようになっていた。
国際関係論のレオナルド・トレヴィサン教授は、「アルゼンチンにおいて何らかの変化があるとすれば、おそらくそれは第1四半期に同国の国内総生産(GDP)が4〜6%減少し、2月と3月のインフレ率が少なくとも25%になるということだ。ブラジルの輸出業者がアルゼンチンの政治・経済状況を注視しなければならないのは間違いない。政治情勢は非常に緊迫している」と警告した。
9日付ヴェージャ(2)によると、コンサルタント会社LCAのエコノミストのブラウリオ・ボルジェス氏は、ブラジル製品の最大の買い手であるアルゼンチンの購買力の悪化が大きく影響し、24年のブラジルGDPは著しい増加を示さないと指摘する。
同氏は、農産物価格の上昇が続いた20〜23年のコモディティ価格ブームの終焉も相まって、ブラジルのGDP成長率は今年末までに1・5~2%と予測しており、22年の2・9%、23年の3%を下回るとみている。