がん患者支援騙る詐欺で豪遊か=実在の子供写真を無断で使って

無断で利用されたニコーリちゃんの写真(19日付G1サイトの記事の一部)
無断で利用されたニコーリちゃんの写真(19日付G1サイトの記事の一部)

 実在するがん患者の子供の写真を無断で使って、ネットで募金詐欺を行った疑いのある夫婦がリオ市で告発された。彼らはSNS上で偽の募金キャンペーンを行い、同情を誘うために実際の患者のプロフィールを使用していたとされ、集まった資金は旅行やホテル代に使用された可能性があると19日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 この詐欺事件は、容疑者の妹による告発によって明るみにでた。偽の募金活動の一つは、5歳の小児がん患者「ラウラ・オリヴェイラ・サントス」へのもの。「レイラ」と名乗る母親が書いたとされる依頼文には「娘が目の腫瘍で苦しんでおり、再手術と検査の費用が必要だ」と書かれていた。
 「Todos pela Laura(すべてはラウラのために)」と名付けられたSNS上のプロフィールは、女児の健康状態が定期的に更新され、「神の思し召にかなえば、私たちを不安にさせ悩ませたこの腫瘍が治るでしょう」と投稿された。
 「ラウラ」の腫瘍治療を支援するためのオンライン募金は680人以上の支援を受け、約3万5千レアル(約100万円)が集まった。
 キャンペーンで使われた写真は本物で、8歳のニコーリちゃんだった。ブラジル北東部セルジッペ州アラカジュ市に住み、実際に目の奥の腫瘍である骨芽細胞腫で統一医療保健システム(SUS)の治療を受けている。彼女の家族は以前SNSで資金援助を呼びかけたことがあったが、当該の募金活動とは無関係だという。
 詐欺を発見して被害者に通知したのは、容疑者の一人であるルイス・アントニオ・ドス・サントス・バルボサ容疑者の妹ステファニーさんだった。彼女によれば、配車アプリの運転手である兄と、その妻タイナラ・リベイロ・スビチル容疑者は、ある時を境に夫婦の所得水準とは相容れない豪華な生活を誇示するようになり疑問を持ち始めたという。
 ステファニーさんは「兄は頻繁に旅行に出かけ、コパカバーナなどの高級リゾートホテルに泊まり、高価な服を身に付けるようになった」と振り返った。
 彼女は家族でバーベキューをしたとき、タイナラ容疑者が「Todos pela Laura」のプロフィールを使っているのを目撃したという。「みんなが肉を焼いている最中、義姉はずっとハンモックの中で携帯をいじっていた。彼女はそのプロフィールの子供の写真を熱心に編集していた。明るくしたり、トリミングしたり、フォロワーの心を動かすような文章を考えたりしていた」と話し、「あの時、私が考えたことは、その少女が感じているであろう痛みだった」と嘆いた。
 ステファニーさんは本物のニコーリちゃんの連絡先を突き止めると、彼女の両親に知っていることをすべて話した。真実味を持たせるために偽の診断書が使われていることを発見し、その医師に警告もした。
 先週、容疑者夫婦は警察署で供述を行った。タイナラ容疑者は虚偽の募金活動を行ったことを認めたが、単独犯だと主張、夫は何も知らなかったという。夫婦の代理人弁護士は、詐欺を働いたのは彼女が経済的な困難に陥っていたためだと説明した。

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