サンパウロ市のセニヴァル・モウラ市議(労働者党・PT)が創業者の一人であるバス会社トランスウニオン社が、国内最大級の犯罪集団である州都第一コマンド(PCC)に毎週7万レアル(約215万円)を支払っていたことが明らかになった。これは、同社の元取締役で、2020年3月4日に射殺されたアダウト・ソアレス・ジョルジ氏の携帯電話に残っていたメッセージから判明した。警察は、この背景には複数の犯罪活動が絡んでいるとみて、捜査を続けている。21日付エスタード紙(1)が報じている。
トランスウニオン社は、サンパウロ市にあり、PCCと関係のある犯罪で捜査対象となっているバス会社3社の内の一つで、467台のバスを有し、サンパウロ市の公共交通システムの内、二つのロットの運行を担当している。同社の幹部や株主がPCCとつながりを持ち、資金洗浄を行っていたという疑惑は、2020年のアダウト氏射殺事件がきっかけとなって捜査が始められた。
アダウト氏は、トランスウニオン社の元従業員で、セニヴァル・モウラ市議の運転手だったデヴァニル・ソウザ・ナシメント氏と親しい関係にあった。警察によると、デヴァニル氏は市からの補助金で保育園を管理する「計画」に関与しており、セニヴァル氏同様、アダウト氏を狙った罠だと知りながら駐車場まで彼を送った疑いで捜査された。両者とも容疑を否認しており、弁護側は無実を主張している。
エスタード紙が入手した同事件の調査報告書は、「要約すると、アダウト氏の死は、トランスウニオン社からの資金横領計画に関連していた。同社は協同組合モデルで設立された時から、犯罪で得られた資金、具体的には犯罪組織であるPCCが不正に得た資金の洗浄に使用されていた」と結論づけている。
それによれば、セニヴァル氏は2000年代、サンパウロ市内の乗り合いバス運転手の間のリーダー的存在として、2004年の市議選に立候補した。同氏の選挙キャンペーンには悪名高い犯罪者であるリカルド・ペレイラ・ドス・サントスとアレシャンドレ・フェレイラ・ヴィアナが資金を提供したとされている。この資金提供に対する見返りとして、犯罪組織であるPCCはトランスニオン社の株式の大部分を引き継ぎ、横領や資金洗浄などの違法活動を行うことになったとされる。
警察の文書によると、トランスウニオン社の代表は、銀行強盗として知られるレオネル・モレイラ・マルチンス氏で、PCCメンバーとの連絡や利害関係の問題解決に関与していたとされる。
さらに、アダウト氏の携帯電話のデータ抽出分析から、彼とレオネル氏の毎週のやり取りが明らかになり、PCCメンバーとしての地位や同社が所有する車両のための支払いに関する議論が含まれていた。
トランスウニオン社は20年2月5日、PCCからの命令で、セニヴァル氏の盟友であるアダウト氏を社長職から解任。代わりにロウリヴァル・デ・フランサ・モナリオ氏を就任させた。同氏の役割は他の組合員に不利益を与え、会社の偽りの利益を優先させることだった。
犯罪捜査局によれば、PCCは復讐のためにアダウト氏を殺害し、セニヴァル氏に対しても殺害宣告を行ったが、バス13台をPCCに渡し、会社の経営から離れることに同意したため、殺されなかったという。事件の捜査はまだ継続中で、防犯カメラの映像や押収された携帯電話の分析結果を待っている。
セニヴァル氏の弁護士のマルシオ・サエグ氏はこの告発には根拠がないと述べており、会計の専門家が関与し、情報を開示したにも関わらず、何も見つかっていない。同弁護士はまた、今年の選挙のために政敵が事件を持ち出すことを懸念していると述べた。
デヴァニル氏の弁護側は、弁護側が要求された情報を提出し、警察の告発が破綻したため、裁判所は彼の逮捕を取り消したと説明し、今後も無罪を主張し続けると述べた。
サンパウロ市会計検査局は、トランスウニオン社が犯罪組織の資金洗浄に使われた疑いがあるため、調査を開始した。また、サンパウロ市市役所は警察の要請に全面的に協力し、法的な解明が行われることを望んでいるとの声明を出している。