韓国の現代自動車グループのチョン・ウィソン会長は22日にブラジリアを訪れ、ルーラ大統領との会談の中で2032年までにブラジルでのハイブリッド車、電気自動車、グリーン水素自動車の生産に11億米ドル(54億レアル、1655億円相当)を投じる計画を明らかにした。これにより、21年以降に発表されたブラジルにおける同部門への投資総額は468億5千万レアル(約1兆4055億円)になると、23日付ヴァロール紙(1)が報じている。
同会談にはジェラルド・アルキミン副大統領兼商工開発相と現代自動車グローバル最高執行責任者のジョゼ・ムニョス氏らが同席した。
ここ数カ月で複数の自動車メーカーが新たな投資計画を発表しており、これからもさらに増えると見込まれているが、現代自動車がこのような大規模な投資をすることは誰も予想していなかった。
同社は新技術、特にハイブリッド車、電気自動車、グリーン水素自動車への投資を約束しており、ブラジル政府が奨励する「Moverプログラム」と一致する。同プログラムは新たな排ガス規制を定め、研究開発への投資と引き換えに、自動車産業に対して税制優遇措置を提供するものだ。
政府側の報告によると、チョン氏は南半球で最初の工場はサンパウロ州ピラシカバ市を選んだことに言及。同社はブラジルで総額25億米ドルの投資を行っており、6500人以上の直接雇用を創出してきたと強調したという。
一方、ルーラ大統領は、ブラジルの税制改革の承認、投資環境の改善、再工業化政策における自動車産業の役割を強調し、エネルギー転換の展望についてコメントした。
ヴァロール紙の調査によれば、最近はブラジル自動車産業部門への投資が顕著で、投資総額の約半分が過去3カ月間に発表されている。現代自動車の計画を含めると、投資総額は468億5千万レアルに達し、トラックやバスのメーカーの過去の投資も加えると、17〜32年までの期間に全体で95億レアルを超える投資が見込まれている。
直近の発表では、フォルクスワーゲンが2月初めに、24年〜28年の間にさらに90億レアルを投資する計画を明らかにした。これは22〜26年までの期間に定められた70億レアルに追加されるもので、10年間で合計160億レアルとなる。
その他の自動車メーカーではジェネラルモーターズ、日産、ルノー、CAOAグループも最近、投資を発表している。さらに、BYDや長城汽車がブラジル参入を準備している計画に加わる。
最新計画の特徴からは、ブラジルの自動車産業は100%電気自動車の時代にはまだ至らず、代わりにハイブリッドモデルによる電動化が重要視されていることがわかる。フォルクスワーゲンの新たな資源の大半はエタノールを燃料とするハイブリッド・モデル用に特別に開発された新たな車両プラットフォームに投入される予定だ。ステランティスからも、数日中に大きな発表がある予定だ。
バイオ燃料は、ブラジルで輸送の脱炭素化を促進する主要な選択肢となりつつあり、サトウキビエタノールやトウモロコシエタノールの利用が拡大。さらに、大型貨物車向けのバイオガス自動車の開発も進められている。