清和友の会(平野和則会長)はジャパンクラブ(蛯原忠男理事)と共催で天皇誕生日祝賀会を、23日(金)午前11時からサンパウロ市リベルダーデ区のジャパンクラブで開催し、30人近くが参加した。126代目の天皇陛下が皇居で64歳の誕生日を迎えた同日、地球の反対側からも皇室の弥栄を願う在外日本人の声が上がった。
最初に君が代、天長節の歌を全員で斉唱、続いて石塚清和さんの音頭に合わせて教育勅語の現代語訳を「父母に孝行し、兄弟仲良くし、夫婦は仲睦まじく、友達とはお互いに信じあい、行動は慎み深く、他人に博愛の手を差し伸べ、学問を修め――」などと奉唱した。
司会の足立和子さんは「日本移民100周年の2008年に当時皇太子殿下だった天皇陛下がご来伯された際、日本国民の幸せを願っておられる姿を間近に見、いずれは日本を背負って行かれるであろう強いお志をひしひしと感じ、涙が溢れそうになりました。あの光景を思い出すたびに、皇室の弥栄を願う心境になります」と前置きし、平野会長は「上皇上皇后陛下ご夫妻が結婚された年に、ブラジルに移民しました。以来、不思議な縁を感じ、折に触れ、皇室の弥栄をお祈りさせてもらっている」と挨拶した。
日本史愛好家の大野正人さんは、「1967年に移住した頃、戦前移民の自宅にお伺いした際、本人に挨拶しようと思って手を出したら、『お前は日本人か! 日本の心を持っているのか!』と怒られ、壁に飾られている昭和天皇のご真影を指さして『日本人なら、まず陛下にご挨拶するのが当然だ』と注意を受けた。こちらに来てから地方会館で生まれて初めて天長節の歌の斉唱や教育勅語を奉唱する姿を見てショックを受けた。私は戦後教育を受けて育ったので、そういうものを知らず、ブラジルに来てから日本の歴史や伝統に目覚めた」との経験を明かし、「この会は、人類は皆一つの屋根の下に住んでいるという日本古来の思想を、世界に広げることが使命ではないか」と締めくくった。
中沢宏一さんはブラジル日本都道府県人会連合会会長だった頃、日本政府がチエテ川治水工事を支援した際の完工式を挙行する手伝いをした。天皇陛下が2018年に首都ブラジリアの「世界水フォーラム」にご参加された研究者であることを振り返り、「チエテ川工事のように日本が良いことをしていることを、もっと発信しなければ」と呼びかけた。
徳力啓三元会長も「ブラジルからの皇居勤労奉仕団に3回参加させてもらい、『自分は日本人だ』としみじみ感じた。この会は日本のことを学ぶ会になってほしい」と述べた。最後に山本恒夫さんの「万歳、カンパイ、ビーバ」という音頭で乾杯し、細井真由美さんの手作り料理の数々と持ち寄り品で和やかな昼食会となった。
参加者最年長の92歳、太田韶彦さん(あきひこ、東京都出身)は「1967年に上皇上皇后陛下御夫妻がブラジルにご訪問された際、文協の廊下でお迎えをし、こちらに会釈を賜った。あの時は本当に感激した。世界最古の王室である皇室は本当に在り難い存在だ」としみじみ述べた。
昨年12月から当地在住の建築士・中野正尊さん(まさたか、63歳、東京都出身)も「駐日ブラジル大使と仕事の関係で縁があり永住権をもらうことができた。来たばかりでこのような会に出席でき、とても感激している」と喜んだ。