お薦めコースに人気集まる=高価だが創造的調理で勝負

ココナッツゼリーとマンゴームースを融合させたグリーンカレーは「Tuju」で提供される(Foto: Divulgação)

 コロナ禍の後、高級レストランが再び人気を集め、高価な「お薦めコースメニュー」(o menu degustação)が注目されていると29日付ヴァロール紙(1)が報じた。お薦めコースは、シェフの代表的な料理全てを一度に少量ずつ試食でき、その創造性や季節の食材が集約されていると強調した。
 昨年9月、サンパウロ市ジャルジン・パウリスターノ地区にリニューアル・オープンした「Tuju」もそれを提供するミシュラン二つ星レストランだ。まず客は1階のテラス席に案内され、創作ドリンクを味わう。テキーラ、ピタヤ、バルサミコ酢、オレンジ・リキュール、コニャックで作られた「カフォーナ(品のない)」と名付けられたカクテル(70レアル、約2100円)が人気だ。
 お試しコースは、氷の入った大皿で運ばれる前菜からスタートする。タケノコはマグロの骨髄とレモンが添えられ、レタスの上にミックスベジタブルとインゲン豆のフムスがのせられた前菜が華やかさを際立たせる。グラスに盛られたショットはオリーブオイルとアセロラを合わせたものだ。
 さらにアンチョビを混ぜた牛肉は、海藻とオレンジ色のジャガイモのパスタにのせて供される。酸味のある果実のカンブシで作ったソースには、削りたての鰹節が最高のアクセントに。パンは自家製で4品目以降に提供され、計10皿ほどが出てくる。
 このお薦めコースは年に4回メニューを変更。日本のような四季がなく、サンパウロ州で生産される旬食材の定義が曖昧なため、季節性を決定する降水量から四つのメニューは乾燥、湿度、風と雨と名付けられた。
 プチデザート含む10品で1人当たりの料金は890レアル(約2万7千円)。追加料金で食材をキャビアや白トリュフへの変更も可能。ワインとのペアリングを楽しみたいなら690〜1500レアルを追加。
 メインシェフのラルストン氏はコロナ禍の影響で選択を迫られた。もとのまま維持して当時のパンデミック時のプロトコルに従って多くの従業員を解雇するか、もしくは、新ビジネスに変えて成功の可能性を高めるのか。その結果、「Tijuina」という試験的レストランを誕生させた。
 このレストランはアラカルト料理に特化し、平均200レアルと以前の1/3に設定した。Tijuinaの顧客の大部分は外国人観光客だったが、新Tujuでは「99%がサンパウロ市地元顧客」だった。同氏は「お薦めメニューはシェフの創造性を最も引き出す形式であり、食文化革新の大半はこれから生まれるため、皆が受け入れてくれる」と主張する。
 お薦めメニューの起源は、少ない量と旬の食材に重点を置く、日本の「懐石料理」とされている。このコンセプトに触発され、ポール・ボキューズやジョエル・ロブションといったシェフが星付きレストランに関連する一連の料理を考案した。
 サンパウロ市の有名店「Mani」では、お薦めコースは客の約3割からリクエストされる。最近登場したメニューは1人680レアルだ。「お薦めメニューは小皿料理で構成され、食材、形式、風味をより自由に、より大胆に扱うことができる。ダイナミックで驚きのあるお試しは、他では味わえない」とシェフのエレナ・リッツォ氏は述べた。

(1)https://valor.globo.com/eu-e/noticia/2024/02/29/por-que-o-menu-degustacao-esta-em-alta-em-restaurantes-badalados.ghtml
(2月29日)

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