震えあがるベネズエラ亡命軍人=マドゥロ擁護のルーラ政権下で

 元ベネズエラ軍人のロナルド・レアンドロ・オヘダ・モレノ氏(32歳)が2月21日、2023年末から滞在していたチリ首都で誘拐された。この事件は、国外逃亡中のベネズエラのボリバル国軍反体制派メンバーの間にパニックを引き起こしている。ブラジルに逃れたその一派の数は900人を超える。元軍人が匿名を条件に取材に応じ、「恐怖のあまり真夜中に家を変え、子供を別の学校に移し、家族のすべての習慣を変えざるを得なくなった」と語ったと2月28日付オ・グローボ(1)が報じた。
 オヘダ氏は、ベネズエラでの大統領暗殺計画に関与したとして2017年に逮捕されたが、刑務所から脱走してチリに亡命した。彼はSNSを通じてマドゥロ独裁政権に対する厳しい批判を行い、政治犯釈放を求める抗議活動に参加した。(2)
 チリ政府は彼の政治的亡命を認めているとされるが公式には確認されていない。2月21日深夜、彼が暮らしていた首都のアパートに、警察官を装ったマドゥロ政権の軍事諜報部員と見られる人物が押し入り誘拐した。以来彼の行方は分かっていない。
 この様子は監視カメラに収められ、ブラジルに亡命した元軍人には「現実となった悪夢」となり、「ブラジルでも誘拐されて殺されるのではという恐怖に怯えている。これは誇張ではない。我々は犯罪者を相手にしている」と述べ、「明日は我が身。オヘダの出来事はその恐怖を最大限に高めた。彼が生きて現れることはもうないと確信している」と強調した。
 ブラジルに住むベネズエラ元軍人たちは国内に散らばるが、大部分はパラナ州、サンタカタリーナ州、サンパウロ州、リオ・グランデ・ド・スル州、ブラジリアに集中する。多くは仕事を持ち、家族と新しい生活を築いている。
 多くのベネズエラ元軍人はオヘダ氏と同様に、2017年3月に「反逆」の罪で逮捕された。2019年当時の大統領ボルソナロ氏が反マドゥロ派のフアン・グアイド氏の暫定政府を正当と認めたため、これら元軍人にとってブラジルは安心して過ごせる場所となった。だがルーラ大統領に移行後、彼らはブラジルとベネズエラ政府の友好関係が自分たちに影響を与えると恐れている。
 1日にカリブの島国セントヴィンセント・グレナディーンの首都キングスタウンで行われたラテン・アメリカ・カリブ共同体(Celac)の会議で両首脳が顔を合わせたことを不安視し、「マドゥロがルーラ氏に協力を求め、ブラジルにいる我々をベネズエラ政府打倒という架空の陰謀の一部であると主張するのではないかと心配している」と述べた。
 一方、チリ政府がマドゥロ政権に協力してオヘダ氏を誘拐したという疑惑も広がっているが、内務次官官房のマヌエル・モンサルベ氏は完全否定する。モンサルベ氏は1月にベネズエラの首都カラカスを訪れ、治安部隊との間で警察協定に署名した。これでマドゥロ政府の反対派に対する迫害に関してさらに疑念を引き起こした。

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