太古には海だったアマゾン=海洋生物の化石発見で研究進む

アマゾン川に生息するピンクカワイルカ(アマゾナス州ノボ・アイラン市)(Allice Hunter , via Wikimedia Commons)
アマゾン川に生息するピンクカワイルカ(アマゾナス州ノボ・アイラン市)(Allice Hunter , via Wikimedia Commons)

 地質学者リリアン・マイア・レアンドロ氏率いる科学者チームが行った最近の研究で、アマゾン盆地の一部は太古の昔には海水に覆われていた可能性が浮上し、多くの海洋性の動植物の子孫が同地域に生息している謎が解き明かされようとしている。90年台初頭からアマゾン内陸地域で、海洋生物の化石が多数発見され謎が深まっていた。2月5日付テラ・サイト(1)が報じた。
 この研究ではおよそ2300万年前から500万年前の中新世は世界的な地質学的激動期で、アジアのヒマラヤ山脈、ヨーロッパのアルプス山脈、南米のアンデス山脈を生み出した時期とされる。
 南米の北西部では、現在あるいくつかの山脈が当時まだ形成されておらず、例えば現在カリブ海からアマゾン地方への海水の侵入を防いでいるメリダ山脈が含まれる。そのため、かつて海面が高かった時代には、大陸内陸部に海水が入り込んで湾を形成したとの見方が生まれている。
 山脈が生まれる前にはアマゾン地域とカリブ海の間に連絡水路が形成され、過去の大洪水が海洋動物を運び込み、新種を誕生させたとの仮説が出てきている。
 世界最大の河川といわれるアマゾン川はほぼ赤道沿いに、ペルーに源を発して東方に流れ、コロンビアを経てブラジル北岸に注ぐ。ボリビア、エクアドル、ベネズエラ、ガイアナにまたがり、多くの支流がこの川に合流している。アマゾン流域は北半球と南半球の両方にまたがっているため、南北両側の夏の雨季に影響を受ける特殊な熱帯気候を生んでいる。
 レアンドロ氏は、アマゾン川で見られるピンクカワイルカは、過去の大洪水によってこの地域に持ち込まれた海洋動物から進化したと見ている。その祖先は地域に生息していた海のイルカだった可能性が高いという。山脈が生まれてアマゾン川が淡水化したことにより、個体群が独自進化して分離し、川の環境に適応した新種が生まれたと報告した。
 アマゾンの河川は、豊富な有機物により水質が酸性に傾いており、この環境に適応した多様な生物が生息している。その中には、魚や植物などが含まれており、淡水エイ、ツクシイルカ、ピンクカワイルカなど、在来動物の中には海洋生物との類似性を持つものも多い。

最新記事