イタリア議会が国籍付与法検討=世代制限ナシから3世までに

エスピリト・サント州のイタリア移民の家族(Diulgação/Arquivo Público Espirito Santo)
エスピリト・サント州のイタリア移民の家族(Diulgação/Arquivo Público Espirito Santo)

 現在は世代制限なく許されている外国在住イタリア系子孫による本国の市民権(国籍)申請に関して、右派政党が制限する提案を提出し、イタリア議会で審議中だと5日付フォーリャ紙(1)が報じた。
 これは1992年に制定された現行法を改正するもの。この法案によれば、改正後も3世代までの申請が可能だが、申請者はイタリア語に堪能であることが求められ、4世以降の場合は市民権を申請する前に少なくとも1年間はイタリアに住むことが義務づけられる。
 ブラジルは1870〜1920年にかけて多くのイタリア人移民の受け入れを行い、在ブラジル・イタリア大使館によると、現在約3千万人の子孫がいると推定しており、市民権を求めるイタリア系ブラジル人に大きな影響を与えることになる。
 この法案は昨年6月、ジョルジャ・メローニ現首相が創設した右派政党「イタリアの同胞」のロベルト・メニア上議によって提案された。しばらく保留されたままになっていたが、1月末に上院憲法委員会の議題となり、法案審議の第一歩を踏み出した。
 その数日前、北イタリアの市長や司法関係者が、ブラジルのイタリア系移民の子孫からの市民権申請によって市民登録所や裁判所が過負荷状態に陥っていると公に訴えていた。
 この改正案は、血縁による市民権申請をイタリア国民の3親等までの直系卑属、ひ孫までに基本的に制限するもの。親族関係が第3世代を超える場合、申請者はイタリアに最低でも1年間居住する必要があり、その後に居住地で申請を行う必要がある。いずれの場合も、中級レベルの言語能力証明書が必要となる。
 ここ数年、イタリア議会では類似法案が出回ってきたが、今回は右派優勢の政治情勢なのでこれまでと異なる。上院の審議議題に同法案が含まれたことで、法案が進展する可能性が高まった。
 イタリアの同胞党は、伝統性を重んじる保守的なナショナリスズムを指針とし、同性婚やそのカップルによる養子縁組に反対している。上院で63議席を持つ最大会派であり、他の政党との連立により絶対的多数を確保している。
 この法案は与党の上議による提案であることに加え、同党は法案が審議される委員会と上院の両方の議長を務めている。法案が可決された場合は下院に進むことになるが、そちらでも有利とみられている。両院での審議には1年以上かかる可能性があるが、法律が可決される可能性は高まっていると報じられた。

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