【既報関連】エスタード紙は13日の社説で、ルーラ大統領(労働者党・PT)はペトロブラス(PB)に経営介入し、対米緊張の最中のベネズエラに同石油公社専門家を派遣するなど、石油公社を政治利用してベネズエラの二の舞になっていると批判したと13日付オエステ誌(1)(2)(3)が報じた。
13日にPBは23年バランスシートを発表し、33・8%の減益を示し、臨時配当はしないと発表した。この決定は、ルーラ大統領からの直接干渉を受けた国営石油会社の取締役会によって下され、たった1日の株式取引でPBは553億レアルもの損失を出した。
外国人投資家はこの時にサンパウロ証券取引所(B3)から17・5億レアルの資金を引き上げたが、今年3番目の資金流出額だった。
SBT局テレビ番組で司会者のセザール・フィーリョ氏は、PBが先週500億レアル以上の市場価値を失ったのは政府介入によるものかとルーラ氏に質問したところ、「市場は国民のためには何もしないのに、自分のためには全てを欲しがる『貪欲な恐竜』だ」と投資家の方を非難した。
エスタード紙はこの危機は、ルーラ大統領によるPB特別配当への明確な介入によって引き起こされたとし、「これは投資家の間に大きな不安を引き起こしたが、ルーラはこれまで以上にルーラらしくあることを決めた」と書いた。
同社説はルーラ氏のポピュリスト的思想を、ベネズエラ国民の8割が貧困線以下で暮らすようになったチャベス独裁政権と比較。それはチャベスとマドゥロのポピュリズムの結果、世界最大級の石油公社ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)は巨大なゴミ山に変えられたとし、「ベネズエラのように、PB社をPTの政治目的のために利用しようとしている」と書いた。
9日付オエステ誌によると、PBはベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の要請を受け、石油生産の専門家チームを同国に派遣した。この訪問は、米国からの制裁がある中で実現され、PB視察団はマラカイボ湖の油田など、同国の重要な石油地域を視察した。
米国は昨年、ベネズエラの石油部門に対する制裁を解除する条件として、自由で公正な選挙の実施を要求した。しかし、ベネズエラの憲法裁判所はマドゥロ大統領に操られており、マドゥロ氏の主要な競争相手であるマリア・コリーナ・マチャド氏の大統領選出場を禁止した。これに対しジョー・バイデン米国大統領は制裁を再開する意向を表明した。