ブラジル銀行(BB)はデジタルセキュリティサービスを提供する「ギーゼッケ・アンド・デブリエント(G+D)」社と提携し、ブラジル中央銀行が発行するデジタル通貨「Drex(ドレックス)」を使用したオフライン決済テストを開始すると発表した。この新システムの導入により、国内での少額の買い物など、日常的な取引でデジタル通貨を使用する範囲が広がり、実際の使用状況や利便性を評価する機会が増えると見られている。11日付セウ・ジニェイロ・サイトなど(1)(2)が報じている。
Drexは、ブラジルの公式通貨レアルをブロックチェーン上でトークン化(機密性の高い情報を、その本質や有用性を損なうことなく、機密性の低い代替情報に変換するプロセス)したものだ。
同技術は、ブレスレッドや指輪などのアクセサリー、プラスチックカードや携帯電話などのデバイスにデジタルウォレット機能を持たせ、インターネットに接続することなく、仮想通貨で支払いを行うことができる。支払人から受取人へ暗号化された形で行われる送金方法は、既にガーナやタイなどでテストされており、BBとG+D社の合意は数カ月前から協議されていた。
Drexを使った新しいオフライン決済ソリューションにより、店舗での少額の買い物、サービスや手当の支払いなど、日常取引においてデジタル通貨を使用する機会が増えることが期待される。
BBのデジタルビジネス&テクノロジー担当のマリーザ・レジーニ氏は、オフライン決済により、インフラが不十分でインターネットへのアクセスが困難な地域においてもデジタル通貨の恩恵を拡大することが可能になるとし、「ブラジル国民は、銀行口座やインターネットを必要とせず、地元の商店で安全な取引を行うなど、日常生活でこのシステムの利点を享受することができる」と説明した。
銀行関連の技術サービスを提供するTecBan社が行った最近の調査によると、ブラジル人の29%は日常生活における支払い方法の一つとして物理的な金銭を使用している。所得階層分類で中間〜最貧困層を形成するC、D、Eクラスでは、この数字が32%に上昇し、さらに北東部では40%に達する。
この数字は、銀行が増え、即時送金システムPIXの普及が進んだとはいえ、現金の利用が依然として多いことを示している。
紙幣を好む理由には、口座やクレジットカードがないことやインターネットに接続しにくいことなどが含まれている。
このような人々の需要に応え、実用的で安全かつシンプルな方法で、インターネット接続を必要とせずに決済ができるソリューションは、現金に代わる決済手段となる可能性を秘めており、Drexの普及にもつながると期待されている。