救済会総会=「お金不足すると寄付現れる」=イベントや園子さん遺産で黒字に

活動報告をする本田会長

 老人福祉施設「憩の園」を運営する救済会(本田イズム会長)は9日午前10時から、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会展示室で第72回定期総会を開催し、50人余りが出席した。一昨年に亡くなった吉安園子元会長が死の直前に寄付した遺産97万レアルのおかげで黒字になったとの収支報告も行われ、最後に次の2年間の役員選挙になり、本田会長が2期目の再選を決めた。

 まず日本とブラジル両国歌が斉唱され、亡くなった入園者や関係者らに1分間の黙祷を捧げた。岩本卓(たかし)さんを議長に総会は進められた。本田会長が挨拶で「1953年に救済会は正式登記、移民50周年の1958年に憩の園が設立されたが、当時を知る人は誰もいなくなった。相田祐弘(やすひろ)副会長が一番古い貴重なメンバーだ」と語り、23年活動報告として、園子さんの寄付の件、寄付を受け取るトラックが老朽化していたので新車を購入した件などが報告された。
 本田会長は「評議員の一人からアパート寄付を受け、その譲渡契約に登記所に一緒に行った際、寄付者が『うちの近くを通るバスがそこのバス停を通るから、それで帰る』と話していたのを聞いた登記所職員が、福祉施設にアパートを寄付するような財力のある人がバスで帰宅するなんて聞いたことない。そんな尊い行為を見せられたら、私の手数料も無料にするしかない」と実際に手数料をとらなかったという逸話を披露した。
 コロナ禍中はイベントが出来ず収入減になっていたことから、以前は平均70人いた入居者を一昨年には46人まで減らしていた。だが昨年のイベント再開に伴い、今年は60人程度まで増やす見込みだとの方針が明らかにされた。昨年355件の入園申し込みがあり、18人が入居した。
 入園者やその家族から払ってもらっている費用は、全経費の30%程度。残りの70%を寄付やイベント収益で補っている状態だ。日本国籍者は16人で、ポ語が達者でない人もいるので、関秀貴会計理事が日本語教師となって職員に日本語を教えているという。
 地元向け貢献として開講されている高齢者介護講座(計60時間)では95人が受講して45人が卒業した。同施設の宮越講堂で行われる60歳以上とその家族向け長寿セミナーには、年延べ4924人が参加し、100人が参加待ちの列に並んでいるなどと報告があり、承認された。
 関会計理事からの会計報告では収入は764万815レ、支出は725万6509レで、38万4306レの黒字で、承認された。園子さんの寄付がなければ赤字だった。毎月2件程度のイベントに出店して計178万レを売上げ、うち利益は54%だった。関さんは「お金が足りなくなるとどこからともなく寄付が現れる。とても不思議。本田会長はどのイベントでも最初から最後まで立会い、仕事を手伝う。そのおかげで売り上げは好調」と称賛した。
 今年の予算案は収入651万9千レ、支出610万2005レで、41万6995レの黒字の予定で、承認された。昨年まではイベント収益の項目に売上げ額を入れていたが、今年からは、経費を差し引いた粗利に変えたために金額が半分程度になり、その分、全体の収支金額が減少している。

真摯に現状を説明する本田会長

 最後に23/24年役員選挙となり、次のシャッパが承認された。本田会長はその場にいる新役員や評議員を次々に紹介し、「役員や評議員だけでなく、多くのボランティアのおかげで運営できている。憩の園は皆さんのもの」と述べ、午後1時半に閉会した。
【理事会】会長=本田イズム、第1副会長=相田祐弘(やすひろ)、第2同=上島中田悦子、専任理事=岩本卓ジェロニモ、第1書記理事=畑中初美アリッセ、第2同=片岡研二カルロス。第1会計理事=関秀貴、第2同=武藤ハルエ・ラウラ、常任理事=田中ヨシオ・マルセロ、丸山マリオ、吉岡黎明、吉本テツオ、理事=本間アキオ・アギノル、岩根ヨシフミ・アルナルド、吉田イサム・カマルゴ、宮里サトル・カルロス、木村マサヒコ・ウンベルト、ヨシタ・ミチオ・ルシア、福島清美マルレネ、カガワ・カズオ・ネルソン、福森湯田ミズエ・ネウザ、清水オリジオ、佐藤直(すなお)、山田タカオ(以上敬称略)に加え、正監査3人、監査補3人、評議員72人。

総会の様子

□街角ちょっと見□物品寄付や納税証明で協力を

 憩の園の収入で大きいのは、物品寄付と聖州納税証明書(ノッタ・フィスカル・パウリスタ)だ。家財道具、家電、衣類、書籍などの寄付も受けつけ、連絡があれば回収トラックが出向く(https://ikoinosono.org.br/wordpress/quer-ajudar/doacoes-em-materiais/)。そのトラックの2台目を昨年新調した。
 駐在員家族が本帰国する際に出る家具や家電も引き取る。引き取った品は憩の園で地元民に転売され、その収益が運営費に回される。引き取りを希望する人は連絡先(パウロ=doacoes@ikoinosono.org.br 11・2480・1122/WhatsApp11・98516・4829)まで。
 ノッタ・フィスカル・パウリスタは聖州財務局サイトにノッタの寄付先を登録することで、買い物をしてノッタを切るたびに自動的に寄付されるようになる。やり方はサイト(https://ikoinosono.org.br/wordpress/nf-paulista/cupom-com-cpf/)を参照。
 1942年6月、戦中に日本人を助けるために創設され、一昨年80周年を迎えた救済会。できる協力はぜひしたいところだ。(深)

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