ゲイカップルが5人兄弟養子に=養子縁組で離れ離れ避けるため

ダニエルさとジョナタンさんは5人の兄弟を離れ離れにしないように養子に迎えた(15日付G1サイトの記事の一部)
ダニエルさとジョナタンさんは5人の兄弟を離れ離れにしないように養子に迎えた(15日付G1サイトの記事の一部)

 同じ母親から生まれた5人の兄弟が、サンパウロ州リオ・クラロ市のゲイカップルの養子として迎え入れられたが、養子縁組の手続きが始まってから4年後の今月14日にようやく、ゲイの養父二人の姓が記載された出生証明書を受け取った。ブラジルでは最高裁が同性同士の世帯を認めており、ゲイ同士の世帯が増えてきているが、様々な手続きが容易ではないことを浮き彫りにしている。15日付G1サイト(1)が報じている。
 「問題のある母親から子供たちを引き離すべき」と児童保護評議会が判断したと知らされたとき、子供達のいとこにあたるジョナタン・ウィリアタン・ダ・シルヴァさんは、彼らを養子縁組でバラバラにするのはかわいそうとだと考え、まとめて自分が養父になろうと決断し、5人の子供たちとの関係を育むために足しげく養護施設に通い始めた。男児4人と女児1人の兄弟は、現在4〜14歳だ。
 ゲイであるジョナタンさんとそのパートナー、ダニエル・ロシャ・ブラズさんを両親とする形で養子を引き取る申請が出された。だがなかなか許可が出ず、ジョナタンさんが途中で急死した1年後にようやく発行された。5人の子供には2人の姓をとった「シルヴァ・ロシャ・ブラズ」がつけられた。
 「今日、やっと私の名前と夫のジョナタンの名前による子供たちの新しい出生証明書を手にすることができた。誇りであり、勝利の日だ。これまで長い戦いの日々、絶望と多くの涙があった」とダニエルさんは言う。
 子供たちの養父で法定後見人であったジョナタンさんが亡くなり、子供たちは将来への不安を抱き始めた。兄弟の一人から「僕たちはお母さんの元に返されるの?」と尋ねられ、ダニエルさんは「愛しい息子たちよ。私を見て、泣かないで。僕は最後まで君の父親だ。私たちは家族であり、誰もどこにも行かない。君たちは僕と一緒で、僕の子供たちなんだ」と答えた。
 2023年3月にジョナタンさんが亡くなったとき、最終的な親権手続きはまだ進行中だった。そのため、ダニエルさんは兄弟の一時的な親権を得たものの、道のりは困難だったという。
 ダニエルさんは、ジョナタンさんと考えていた5人の子供たちを育てるために十分な広さの家を手に入れる夢の実現に向け、テレビ番組に出演し、それがきっかけでオンライン募金キャンペーンによって、46万4千レアル(約1392万円)以上を集め、家を購入することができた。
 ダニエルさんは「将来、息子たちが大人になって出生証明書を見て、二人の父親の名前を目にしたとき、誇りに感じてくれたら嬉しい」と言う。

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