ブラジル外相=ガザでのイスラエルの行動を非難=国連機関への拠出を維持

マウロ・ヴィエイラ外相(Foto:Antonio Cruz/Agência Brasi)
マウロ・ヴィエイラ外相(Foto:Antonio Cruz/Agência Brasi)

 5日間の日程で中東諸国訪問中のマウロ・ヴィエイラ外相は17日、ヨルダン川西岸地区での議題の中で、ガザ地区におけるイスラエルの行動を「不道徳」で「違法」だと非難した。また、ブラジルは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出を継続するとの意向も表明した。17日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じている。
 「声を大にしてはっきり言わせて欲しい。人々から食料や水を奪うことは違法であり、不道徳だし、人道支援物資の輸送団や救援を求める人々を攻撃することも違法であり、非道徳的だ。病人や負傷者が必要な医薬品を入手できないようにすることは違法であり、非道徳的だ。病院、宗教的および神聖な場所、墓地、避難所を破壊することも違法であり、不道徳だ」と述べた。
 この発言は、ヤーセル・アラファート財団がルーラ大統領に名誉評議員の称号を授与する式典に参加した同外相がスピーチの中で行ったもので、イスラエル政府との外交危機のきっかけとなったルーラ大統領の最近の発言にも言及した。同外相は、昨年10月7日のハマスの攻撃に対するイスラエルの対応は「不釣り合い」だと考えている。
 また、同スピーチで、「ルーラ大統領は、アディスアベバで開催された第37回アフリカ連合首脳会議で、我々の最高のヒューマニズムの伝統を救うよう呼びかけた。この観点から、彼は10月7日のイスラエルの民間人と軍人に対する攻撃を非難し、すべての人質の即時解放を要求した。同時に、パレスチナで何千人もの人々を殺害し、避難させているイスラエルの不釣り合いな対応を拒否したのだ」と述べた。
 同外相は、「パレスチナを独立国家として認める決定は75年前に国連で下っている。193の加盟国の内139カ国が既に、パレスチナを国家として承認している。従って、パレスチナが国連の正式加盟国でないという理由はない」とし、パレスチナが国連組織の正式メンバーではないことにも疑問を呈した。
 また、500万人を超えるパレスチナ難民への援助を維持するためにはUNRWAへの拠出金の維持が不可欠だとも強調。同外相は、10月7日にイスラエルで発生した同時多発テロにUNRWAのメンバー12人が関与したとの告発についても、国連が迅速に調査を行ったことに謝意を表明した。
 ヴィエイラ氏はこれに先立ち、パレスチナ自治政府のリアド・マルキ外相とも会談した。マルキ外相はその席で、イスラエルのガザ攻撃に関するルーラ大統領の発言を擁護した。ブラジル外務省によると、マルキ外相は、ルーラ大統領は「強く、はっきりと」発言し、「ありのままの状況」を述べたと評価したという。
 ルーラ大統領は先月、ガザでの紛争を批判し、イスラエルの行動を「大量虐殺」と呼び、この状況を第2次世界大戦中のアドルフ・ヒトラーによるユダヤ人殺害になぞらえた。
 この発言はイスラエル当局から広く批判され、ルーラ大統領は同国内で「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」の称号を与えられた。
 なお、マルキ外相は17日の会談で、現在は約140万人が居住するガザ地区南部のラファへの攻撃の可能性についての懸念を表明した。
 他方、ブラジル外相はブラジルがパレスチナを国連の正式加盟国として認める努力を主導する意思があることを強調したという。

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