18日付ヴェージャ紙(1)によると、外国人投資家らは15日にサンパウロ証券市場(B3)から6億9400万レアルを引き出しており、10日連続で外国資本が流出していると、ブラジルと米国両国の中銀金利が発表される20日を前に報じられた。2024年に入ってから見られた傾向はより顕著となっており、今年の外国投資の流れは既に累計241億6千万レアルの出超となった。この動きは、12月には175億ドル、年間では449億レアルの入超だった2023年とは対照的だ。
その理由の一つは米国の利下げ開始時期が未だ不透明なことだという。米国では今週初め、現在のインフレ率は年3・2%で、予想を上回る数字だったと発表されており、連邦準備制度理事会(FRB)のインフレとの戦いはまだ終わっておらず、利下げ開始が遅れるとの懸念が再燃。インフレに対してより慎重な姿勢を示すFRB幹部の発言も重要だ。
FedWatchツールのデータによると、今週水曜に金利が発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場関係者の99%が金利は現在の5・25~5・50%のレンジに据え置かれると見ているという。年初には投資家の70%近くが早ければ3月にも最初の利下げと期待していたのに、その見通しを再考する必要が生じたためで、現在は投資家の55・5%が0・25%ポイントの利下げ開始は6月と見ているという。
米国の金利は過去23年間で最も高い水準にあり、国債の魅力を高めている。利下げ再開との見方が出始めたことで、これらの債券への需要は過去数カ月間で再び増加した。年頭は3・8%で取引されていた10年物国債は、18日は4・3%で取引された。
高利回りの米国債は特に、リスクの高い新興国の株式投資の魅力を低下させている。専門家は、米国債は実質的にノーリスクとみなされるため、結局は資本を集めることになると説明。また、昨年末のブラジルへの力強い投資後の調整の動きも指摘されている。Ibovespaは11〜12月に19%上昇したが、これは主に米国の金利低下に対する楽観的な見方に基づいていたと見られている。
米国ではS&P500とナスダック総合株価指数が約8%上昇、東京証券取引所の日経平均株価は16%上昇、ユーロ圏株式のユーロ・ストックス50は10%上昇した。
これらの市場では技術セクターが注目されており、人工知能(AI)に焦点を当てている米国半導体企業のNVIDIは年初から84・21%上昇した。日本では、データセンター事業を行うさくらインターネットが年初来、180%という驚異的な上昇率を記録している。
インテルの株式市場専門家マテウス・アマラル氏は「ヴァーレや鉱業セクターの企業は、中国の停滞と需要減退に苦しんでいる。鉄鉱石は農産物と並び、今年最も下落した商品のひとつだ」と説明した。
一方、石油は1年間で18%上昇し、プラスに働いている。「ペトロブラスはやや余裕があるかもしれないが、政治的な問題が株価を圧迫している。内部要因もあり、株価にストレスを与えたことは確かだ」とアマラル氏は言う。
同氏はまた、新興国の中でも、中国の成長鈍化と米中貿易戦争の激化の中で、外国人投資家が「新しい中国」と評価する、インド市場に注目していると指摘した。
インドのGDPは23年にG20諸国の中で最も高い7・7%の成長を記録しており、国際通貨基金(IMF)は24年はさらに6・5%成長すると予測している。今年に入ってからのムンバイ証券取引所のBSE Sensex指数の伸びは0・51%で安定しているが、12カ月間では26%上昇している。