外国人土地登記が急増=アラゴアス州並みの面積で顕著

17・14%の外資系企業は大豆の栽培と取引に力を入れている(20日アジェンシア・プブリカ・サイトの記事の一部)
17・14%の外資系企業は大豆の栽培と取引に力を入れている(20日アジェンシア・プブリカ・サイトの記事の一部)

 国立植民農地改革院(Incra)のデータによると、ブラジル国内の土地の少なくとも270万ヘクタール(ha)が、外国人や外国企業の名義で正式に登記されていることが明らかになった。これは北東部アラゴアス州の面積に匹敵する。外国人や企業が所有する土地は農業、採掘、鉱業が主産業の地域に多く、外資系グループによる支配が顕著だと、20日付アジェンシア・プブリカ(1)が報じている。
 極右勢力の一部は世界最大の熱帯雨林が外国人グループによって乗っ取られていると主張しているが、ブラジルで外国人や外国企業の支配下にある土地が多い上位5位までで法定アマゾンの一部を有しているのはマット・グロッソ州だけで、外国人や外国企業名義の土地の8割を占める上位10州は、農業や鉱業が盛んな地域に偏っている。
 2008年の金融危機以降、世界の土地市場は過熱し、ブラジルのような新興国や発展途上国の広大な土地は、多国籍企業や金融セクターの大口投資家を引き寄せている。その一方、外国人がブラジルの土地を購入することにより、多くの問題も起きている。
 その一つは農地紛争の悪化だ。外国からの大規模な土地投資が増加するにつれて、地元の農民や先住民族との間で土地を巡る紛争が発生しやすくなる。
 また、土地市場全体を膨張させ、価格を押し上げることで、地元の農民や小規模農家が土地を維持することが難しくなり、貧困層や地域社会の不平等が拡大する可能性が懸念される。
 さらに、外国の企業や投資家による土地の購入は、地域の環境にも影響を与える。特に、農業や鉱業の拡大に伴い、森林伐採や環境破壊が進行する可能性が高まり、生態系の破壊や気候変動などの環境問題を引き起こす恐れがある。
 専門家らは、外国人が所有する土地はIncraが特定した270万haよりもはるかに大きい可能性があると指摘する。これは、政府の土地システムにおける情報登録の不整合といった技術的な問題などに起因しており、リオ・デ・ジャネイロ連邦農村大学(UFRRJ)の研究グループが2023年9月に発表した公式データに基づいた予備調査によると、21年までには既に、910万haの土地が外国人や外国企業による管理下にあったとしている。
 同研究グループは、外国人が直接的または間接的に土地を支配している会社を少なくとも245社特定したという。これらの企業はブラジル全土の大豆やサトウキビ産地、鉱業や再生可能エネルギーの部門を狙っていると説明している。
 また、外国人による土地所有に対する法的不確実性も懸念される。ブラジルに本社を置いているが、実際にコントロールしているのは国外の共同経営者という農場が登録されている場合、政府によって外国所有の土地とみなされる可能性がある。Incraは、2010年8月以降に行われた購入に関し、この種のケースを調査しており、確認されれば、登記が取り消され、土地の所有権が元の所有者に返還される可能性もある。
 国内に拠点を置きながら外国人パートナーによって管理されている企業の関与が調査されている例は5件あり、全ての訴訟が2016年の5~7月に起きている。違法購入疑惑で未解決の事件の一つはブラジルと米国の証券取引所で株式を販売しているBrasilagro社買収の件で、主要株主はアルゼンチンのクレスド社だが、米国の退職基金数社が総会で議決権を持つパートナーとなっている。

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