高等裁判所(STJ)は20日、元ブラジル代表のサッカー選手ロビーニョの集団強姦容疑の件で、イタリア裁判所の禁固9年という判決をブラジルで執行することに問題はないとの判断を下した。STJが命じた即逮捕を避けるために弁護団は、その晩のうちに最高裁に人身保護令状適用の手続きをしたが、21日に最高裁が拒否した結果、連邦警察は即日逮捕した。21日付G1(1)などが報じている。
21日付メトロポレ報道(2)によれば、最高裁のルイス・フクス判事はロビーニョの弁護団が提出した人身保護令状の報告官に選ばれたが、人身保護令状を拒否した。高等裁判事は逮捕令状に署名したので、数日以内に執行される可能性が高いと報じられていた。その後、G1サイト報道によれば、サンパウロ海岸部サントス市アパレシーダ地区にある自宅建物で連邦警察に逮捕された。世界最高クラスのドリブルの名手だとはいえ、こればかりはフェイントできなかったようだ。
ロビーニョはACミラン在籍時の2013年1月、ミラノのナイトクラブで友人5人と共にアルバニア人の女性を酒に酔わせた上、強姦した嫌疑をかけられた。ロビーニョが世界的に有名なサッカー選手であったことから同件は国際的な話題となった。
同件の裁判はイタリアで行われ、ロビーニョは2020年に禁固9年の実刑判決を受けた。同件の裁判は22年1月の同国の最高裁での判決で結審し、刑が確定していた。
イタリア当局はロビーニョの身柄引き渡しを要求したが、ブラジル憲法では自国民引渡しが禁止されているため、イタリアでの刑の執行ができなかった。今回の裁判は、外国での判決を伯国で執行することが妥当かどうかを審議するものだった。
この日の審理はSTJの特別班で行われ、報告官を務めたフランシス・ファルコン判事は、「判決は既にミラノの裁判所で出ており、それは十分に有効」「イタリアでの裁判結果をブラジルでも適用することに何ら法的問題はない」として即時の刑執行を求めた。
これに対し、8人の判事が賛同の意を示した。反対票を投じたのは、「ブラジル人ゆえ、イタリアでの刑はブラジルでは適用されない」としたラウル・アラウージョ判事とベネジト・ゴンサウヴェス判事のみ。判事投票9対2の大差で「即時の刑執行」という判決となった。
この結果を受け、ロビーニョの弁護士ジョゼ・エドゥアルド・アルキミン氏は最高裁に対し、人身保護令状を求める訴えを起こした。アルキミン氏は、ロビーニョの裁判は「ブラジルで一審からやり直すべきだ」と主張している。だが、「ブラジルは犯罪者の逃げ込む場所ではない」と発言する高等裁判事もでるなど、司法界から厳しい姿勢をと問う声も出ていた。