コラム子にとって現在のブラジル政界最大の謎は、カルラ・ザンベッリ下議がまだ政治家活動が継続できていることだ。これは本当に不思議であり、現在、他の服役中の政治家と比較しても「彼女の方が罪が重いのでは?」と思わずにいられない。
まずザンベッリ氏といえば、2022年10月29日のあの事件が思い出される。土曜の真昼間、聖市内の閑静な住宅地で、黒人男性からヤジを飛ばされ激昂した彼女は持っていたピストルを持って男性を追い回し、男性が逃げ込んだ先のバールの店内にまで入り込んだ。
この模様は周囲の人間によって撮影された動画ですぐに拡散された。ただでさえ衝撃的な事件なのに、この日はよりによって大統領選の決選投票の前日。投票日前後24時間は銃の携行は禁止されており、違反すれば現行犯逮捕もあり得るとの注意報道があった数日後のことだった。
この事件を受け、投票日前夜のネット上では「ザンベッリ氏を逮捕しろ」との声が上がったが、結局彼女は事情聴取を受けただけ。だが、彼女が応援キャンペーンを展開していたボルソナロ氏は僅差で落選。ボルソナロ氏は「この一件のせいで落選してしまった」と公言し、彼女のことを恨んでいるという。
その後、ザンベッリ氏はこの件で最高裁から被告扱いはされているものの、まだ咎められないまま1年以上、下議を続けている。
そんな彼女にここに来てさらなるスキャンダルが浮上している。
一つは2022年11月、ハッカーに全国法務審議会(CNJ)のコンピューターをハッキングさせ、選挙高裁の長官であるアレッシャンドレ・デ・モラエス判事を逮捕させるための偽造書類を混入させた疑惑だ。
さらに先週には、ザンベッリ氏が2022年12月に当時の空軍総司令官だったカルロス・バチスタ・ジュニオル氏に対し「ボルソナロ氏に手を貸して欲しい」と、クーデター計画に協力するように要請したとの報道が行われた。
ボルソナロ派の過激派政治家といえば、2021年2月にダニエル・シルヴェイラ氏が逮捕され、現在も実刑に服している。彼の逮捕前や獄中での素行不良が影響しているとはいえ、基本的な罪状は、動画で最高裁判事の全員更迭を扇動したことや軍政時代に最も非民主的で専制的だった法の再施行を求めたことだ。
シルヴェイラ氏とザンベッリ氏に浮上している疑惑、果たしてどちらが重く見えるか。コラム子にはピストルを持って暴れたことだけでも既にザンベッリ氏が上回っているように見えるのだが。(陽)