アルゼンチン人観光客にとり、最も人気のある欧州の目的地はイタリアだ。4600万の人口を持つアルゼンチン国民の半数近くがイタリア系という移民史と深い関係があり、ルーツ・ツーリズム(祖先の地を巡って自らのルーツを追求する旅行スタイル)の成長も人気に影響していると、19日付テラ・サイト(1)(2)が報じた。
コロナ禍以前の2019年、首都ブエノス・アイレスのイタリア国立観光局(ENIT)統計によると、70万4千人がイタリアを訪問して5億2600万ユーロを支出した。2012年から19年までに観光客が240%も増加した。
この情報は、イタリアのダニエラ・サンタンチェ観光相がアルゼンチンを訪問した際に発表。同大臣はイタリア海軍の訓練船「アメリゴ・ヴェスプッチ号」が72年ぶりにブエノス・アイレスに戻った18日、防衛副次官とともにアルゼンチンを訪れた。イタリアはアルゼンチンと政治的関係強化を目指し、アルゼンチンはイタリアには興味深い市場で両想いの関係だ。
サンタンチェ観光相は「ここには世界最大級のイタリア系コミュニティが存在する。我々の存在はお互いに深い意味を持つ。『世界におけるイタリアのルーツの年』と一致している」と発言。今年はブラジルにとってもイタリア人移民150年の記念すべき年だ。
同大臣は「ルーツ・ツーリズムは、特に村の再活性化や観光客の季節的な偏在を解消するという点で、戦略的な機会と発展の機会を提供する」と説明した。
イタリア政府は経済的要素に加え、国への帰属意識を考慮しており、世界中で自国ルーツや優れた点を促進するために多額の投資を行っている。特に食文化に焦点を当て、ブエノス・アイレスでもイタリア料理をユネスコ遺産に推薦する活動を進めている。
イタリアの小売業界団体のコンフコメルシオによれば、ルーツ・ツーリズムは戦略的なテコであり、6千万〜8千万人の旅行者が年間約80億ユーロの支出を生み出すと推定されている。
イタリア銀行の2023年データ(暫定版)のエニット調査部門によると、同年1〜9月に親族や友人を訪問するためにイタリアを訪れた外国人旅行者は、2022年同期(15・6%)、2019年同期(6・7%)ともに増加し、消費額も22年比で6・4%、19年比で45・6%も増加したことからも、この分野が急成長していることが明らかだ。