南部鉄道計画に中国企業参画か=物流改善で農畜産業に大変革

鉄道インフラの不足が南部の主要生産地での投資を抑制している(2023年9月1日付ガゼッタ・ド・ポーヴォの記事の一部)
鉄道インフラの不足が南部の主要生産地での投資を抑制している(2023年9月1日付ガゼッタ・ド・ポーヴォの記事の一部)

 ブラジル南部サンタカタリーナ州では、家畜産業の成長に伴って毎年500万トンの穀物を他州から購入しているが、物流の問題に直面しており、道路輸送に頼ることで生産コストが高騰している。この問題を解決するために鉄道建設が計画されており、国際的な投資家の関心も集まり中国企業が目をつけている。この鉄道は同州だけでなく、隣接州にも利益をもたらすことが期待されていると昨年9月1日付ガゼッタ・ド・ポーヴォ(1)が報じていた。
 サンタカタリーナ州は国内最大の豚肉生産州であり、国内総生産(GDP)が2千億レアル(約60兆円)を超えるが、物流上の深刻な課題に悩まされており、投資家が投資を減速させたり、道路や鉄道がより整備された地域に投資が移動したりしている。
 同様の問題は、鶏肉生産の全国的リーダーであるパラナ州西部及び南西部や、リオ・グランデ・ド・スル州北部等の生産地域でもみられるという。
 シャペコ商工会議所のレノール・アントニオ・ブロッシュ会頭は、全ての穀物は道路輸送で行われており、それが生産コストを大幅に引き上げているとし、生産物の円滑な流通を妨げる道路アクセス不足や道路の荒廃した状況も、鉄道が開設すれば完全に解決されると指摘する。
 鉄道開通に関する技術研究と環境調査が完了し、サンタカタリーナ州のカスカヴェルとパラナ州のシャペコの2州を結ぶルートの実現可能性が確認された。「穀物(主にトウモロコシ)を中西部から購入しているが、鉄道が開通すれば輸送コストを28%削減できる」と同会頭は説明した。
 このルートはパラナ州政府が主導する「ノバ・フェロエステ」と呼ばれるパラナ・オエステ鉄道(グアラプアバ〜カスカヴェル間200キロ強)を延長する州間鉄道プロジェクトに含まれる。ブラジル南部全体の物流インフラを改善する大規模な計画で、その経済効果は大きい。
 そのブラジル南部の生産潜在性を見据え、昨年8月に世界第2位の鉄道会社である中国鉄建(CRCC)がサンタカタリーナ州に代表団を送った。同社はこの区間の鉄道建設と管理を望んでおり、中国国外の主要インフラ・プロジェクトに投資する技術、経験、資金力、能力を持っていることを強調している。
 このプロジェクトはブラジル政府の経済活性化計画(PAC)の一環であり、鉄道運営権は99年間続く予定だ。中国はブラジルの輸出総額の3割を占める最大の貿易パートナーであり、中国企業はブラジルのインフラと物流に大きな関心を持つ。
 中国企業にとって重要な投資であり、この資金がブラジルインフラや物流に投資されることで、コスト削減や輸送円滑化、輸送時間の短縮につながり、その結果、取引が安価になる可能性がある。鉄道は開発、雇用、収入の生成を促進する重要な役割を果たすことが期待されている。
 カスカヴェル〜シャペコまでの鉄道計画は、18のトンネルと31の高架橋を含む単線で263キロをカバーし、64億3千万レアル(約1929億円)の投資が予定されている。鉄道建設は2032年に完了する予定で、フル稼働する2044年には年間885万トンの輸送能力を持つ見込みだと報じられた。

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