スペインの人種差別に涙=ヴィニ「プレーする気が失せる」

涙を見せながら会見するヴィニ(25日付オ・グローボの記事の一部)
涙を見せながら会見するヴィニ(25日付オ・グローボの記事の一部)

 レアル・マドリード所属でブラジル代表(セレソン)選手のヴィニシウス・ジュニオール(略称ヴィニ、23歳)が25日、翌日に控えたスペイン代表との親善試合の前に記者会見に応じ、人種差別のためにサッカーへの意欲が削がれたことを告白し、レアルを去ることも考えたと涙ながらに語った。彼は、現状の不十分な罰則が最も悔しいと述べ、改善を強く望むと訴えた。25日付オ・グローボ(1)が報じた。
 ヴィニに対する人種差別は欧州、特にスペインで頻繁に起きている。最も激しかったのは昨年5月のレアル対バレンシア戦で、ヴィニは大勢の観客から「マカコ(猿)」と人種差別的な大罵声を浴びた。
 ヴィニはそれをうけて同月22日付X(https://twitter.com/vinijr/status/1660743682461519872)に、サッカー場での彼への人種差別発言をまとめた動画を投稿し、最後に次の言葉で締めくくった。
 《アウェイでの試合は毎回、不愉快な驚きをもたらす。今シーズンもたくさんあった。死の願望、首吊り人形、たくさんの犯罪者の叫び声…。すべて記録されている。
 しかし、いつも「孤立したケース」「一人のファン」としてまともに取り扱われない。これは孤立した事件ではない。スペインのいくつかの都市にまたがって(そしてテレビ番組でさえも)進行中のエピソードなのだ。
 その証拠はこの動画にある。これらの人種差別主義者のうち何人が、自分の名前や写真をウェブサイトで晒されたことがあるだろうか? 簡単に言うとゼロだ。偽りだろうが公式謝罪をする者は一人もいない。
 この人たちを犯罪者にするために何が必要だろうか? そしてクラブをスポーツ的に罰するには。スポンサーはなぜリーガ・エスパニョーラに罰を求めないのか? テレビ局はなぜ毎週末この蛮行を放送できるのか? 問題は極めて深刻だ。これはサッカーではなく、非人間的な行為なのだ》
 今回の代表選でヴィニはキャプテンに抜擢された。「彼ら(スペインの報道陣)は、僕のフィールドでの間違いについて報じる量を減らすべきだ。僕自身が成長し改善しなければならないのは確かだが、まだ23歳だ。若くして祖国を離れ、まだ勉強中の身。その報道が僕を悲しませ、プレーする気を奪っていることがなぜわからないのか」とヴィニは語った。
 2018年に同クラブに加入したヴィニは、1年半以上にわたって人種差別を受け続けてきた。クラブを去ることも考えたが、「それは人種差別主義者たちに屈することになると感じた。僕は世界最高のチームで戦い続け、タイトルを獲得し、多くのゴールを決めて、僕の顔をもっと見てもらえるようにする。それが僕の目指すところだ。僕のプレーで仲間や観客を幸せにしたい。人種差別主義者は少数派だ。クラブが僕をサポートしてくれているから、さらに多くのタイトルを獲得するため、僕は強く進み続ける」と述べた。
 ヴィニは「僕は平等を望んでいる。リーガ・エスパニョーラは向上しようとしているが、スペインの状況がそれを許さない。ここでは人種差別は犯罪ではない」と語った。

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