福島県人会=芭蕉白河の関俳句賞表彰式で笑顔=「顔合わせてだと余計に嬉しい」

主催者と出席者の皆さん

 福島県白河市による第5回芭蕉白河の関俳句賞(鈴木和夫実行委員会会長〈白河市長〉)の海外の部表彰式が、3月30日午前、ブラジル福島県人会(佐藤フランシスコ会長)主催により、聖市の同会館で初開催され、関係者約20人余りが出席した。当地から大賞2人、特選2人、秀逸1人、入選8作が選ばれるなど今年も海外の部を席巻した。

 鈴木太郎選では大賞「希望の芽夫の歓声春来たる」(石井かず枝)、特選「ブラジルで希望に満ちた九十八の春」(山田かおる)、秀逸「寒の日や黄イペーが咲き希望の花」(日高パウロ・リマ)、以下入選「キラキラと希望に満ちた夏の海」(中原秋江イベッチ)、「希望とは夏に輝く太陽だ」(梅津朝代)、「世界中に希望てふ種蒔きにけり」(大野宏江)、「瓦礫にも春の草見る希望かな」(大槻京子)。
 佐怒賀直美選では大賞「移住地の子等はつらつと村の春」(廣瀬美知子)、特選「サヴィア鳴く希望溢るる声出して」(松田としこ)、以下入選「春の朝希望の漢字教えけり」(大野宏江)、「タンポポや目ざす希望の新天地」(鈴木文子)、「移民等の希望の船出雪の富士」(佐藤けいこ)、「黄イペーや希望を包み空和む」。他、応募作は17句。
 最初に佐藤会長は10年ほど前にJICA研修で金沢大学に行った際、奥の細道研究で知られるドナルド・キーンの講演を聞いたことを引き合いに出し、「それに触発されて私も奥の細道を回った。とても美しい場所ばかりだった」と挨拶で振り返った。
 俳句募集や表彰の事務方を担当した県人会の渡辺三男さんも「県から送ってきた賞状などを今まで郵送していたが、たまに届かないこともあった。投句者の多くはサンパウロ市の方なのでそれなら表彰式をしたらという話になった」と表彰式開催の経緯を説明し、「ぜひ来年も投句をお願いします」と締めくくった。
 各人の名前と賞が読み上げられ、着物姿の佐藤クリスチアネ文化部長と青森県人会のコッペデひろみ副会長から賞状や記念品、作品集などが手渡された。受賞者を代表して石井かず江さんから「まさかと思って驚いています」との喜び声が語られ、長い冬の終わりに庭のイチョウの木が芽吹いたのを夫が見つけて歓声を上げたのを詠んだと解説された。
 山田かおるさんにも感想を聞くと、「希望に満ちた98年間だったとの気持ちを込めました。実際に顔を合わせて表彰されると余計にうれしいですね。長生きさせてもらって良いことがありますね」とほほ笑んだ。
 サンベルナルド・ド・カンポ市から出席した松田としこさんは「大野宏江先生の指導のおかげ。こうして受賞者同士が交流できると喜びがひとしおです」と述べた。
 佐藤会長は「可能であれば、来年からはジュニア部門にも投句させてほしいとお願いするつもり。そうすれば日本語学校の生徒に呼びかけて作品を寄せてもらえ、投句者の幅が広がる」との希望を述べた。

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