ブラジル北部ロライマ州に暮らす最大の先住民族ヤノマミ族の頭髪から水銀が検出されたことで、違法な金採掘が生態系や健康に悪影響を与えていたことが明らかになったと4日付テラサイトなどが報じた。(1)(2)
別名「アマゾンの水俣病」とも呼ばれる問題で、以前から食用魚から安全基準を超える濃度の水銀が検出されるなど危険性が叫ばれていた。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が実施した、2022年10月に採取された髪のサンプルの分析結果によると、ヤノマミ族のほぼ全人口が水銀汚染の影響を受けていることが示された。
研究員のパウロ・バスタ氏によると、「亜鉛、鉄、セレンなど、人体の代謝に重要な役割を果たす金属がある。しかし、水銀は人間の代謝に何の役割も果たさないため、化学汚染物と見なされている。そして1950年代以来、科学は水銀の健康への有害な影響に関する証拠を蓄積してきた」と説明する。
同氏は「水銀は体のどの臓器にも悪影響を与える可能性がある。腎臓、肝臓、心血管系に損傷を与え、血圧の上昇や心筋梗塞のリスクを引き起こすことが報告されている。しかし、最も影響を受けやすいのは中枢神経系だ」と説明する。
研究者らは緊急措置として、金違法採掘と水銀使用の停止、侵入者の排除、ヤノマミの土地に戦略的な医療施設の建設を挙げている。同研究は、この人々には特別な配慮が必要であることを示しており、影響を受けたコミュニティの追跡、診断の実施、中毒状態の治療プロトコルの策定、既知の後遺症のある慢性的なケースのフォローアップのための参照センターの設置が必要であるとする。
バスタ氏は、ヤノマミ族の土地には産業が存在しないため、水銀の責任は違法採掘者であることに注意を払う必要があるとし、「水銀は川底に沈み泥と混ざり合う。そこで細菌によるプロセスを経てメチル水銀に変わる。このメチル水銀が食物連鎖で藻、小さな甲殻類、魚、ワニに吸収される。それを捕食する魚類を食べることで、人間も汚染されることになる」と研究者は説明する。
加えて、感染性および寄生虫病の有病率を推定する調査も行われた。参加者の8割以上が生涯にわたってマラリアに罹患したと報告し、平均して3回の発症があった。検査された個人の11・7%には、明らかな臨床症状のない症例が特徴的なケースが見られた。違法採掘によって開かれた穴は、蚊が大量発生する溜池になったためだ。
別の懸念すべき事項として子供の15・5%しか予防接種が完了しておらず、11歳未満の子供の25%以上が貧血であり、ほぼ半数が急性栄養不足であることが明らかになった。WHOの基準によれば、80%以上の子供で慢性栄養不良の状態を示した。