花束がローン地獄の入り口に=受取り証明写真で勝手に融資契約

写真を撮られる瞬間(7日付G1サイトの記事の一部)
写真を撮られる瞬間(7日付G1サイトの記事の一部)

 誕生日の嬉しいサプライズ・プレゼントのはずの花束が、借金地獄への入り口に――。サンパウロ州内陸部で花の配達員を装った犯罪グループが被害者に近づき、花束の受け取り確認のために顔写真撮影を求めるが、実際にはその写真がローンの顔認証として使われるという詐欺被害を7日放送のグローボ局番組ファンタスチコが報道した。警察には同グループが70件以上の詐欺を働いたと見ている。同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 花束が突然職場に届いたが、被害者は特に不審に思わなかった。実際、その日は誕生日だったからだ。配達員は「贈り物」を無事に届けたことを送り主に報告するために写真撮影を求め、携帯カメラで撮影した。「(配達員は)受け取り確認が完了した後、誰が私に花を送ったのか明らかにする動画が私に送られてくると説明した」と語った。
 だがその結果、被害者は見たこともない車を購入したことになっていた。その顔写真を「デジタル署名」のように利用することで、一味は被害者が中古車を購入したクレジット契約を承認させるという手口だ。被害者は「大体2200レアル(約6万6千円)の60回払いのローンの支払い書が届いた」と話した。
 つまり、花の配達は単なる偽装で、実際には自動車ローンの申請手続きに同意する顔認証をさせられていた。
 この詐欺は、見たことのない車の借金を背負わされた女性、偽造されたローンを負担して損失を被った金融機関、取引に関与した車の実際の所有者という計3者の被害者を出した。購入先とされる中古車販売店は、サンパウロ州の内陸部に位置するプレジデンテ・ヴェンセスラウ市に位置するが、被害者が住む場所から遠く離れている。
 2022年、その車販売店は金融機関のサービスを利用する契約を結んだ。しかし昨年、融資の一部に問題を見つけた金融機関が疑念を抱き、警察に告発。疑惑の中心にいたのは、この車販売店のオーナーであるムリーロ・デ・ソウザ・ジェロニモ容疑者だった。
 捜査開始当初は11件だったが、警察は詐欺がもっと大規模なものである可能性を示唆している。捜査担当のエジマール・ロジェリオ・ジアス・カパロース警部は、「捜査の第2段階では、70件の詐欺で少なくとも700万レアル(約2億1千万円)が動かされたと推定している」と説明した。
 先週、警察はこの犯罪グループに対する捜査を実施し、ムリーロ容疑者とその共犯者は逮捕され、首謀者とみられるデニルソン・ダルベルチ容疑者はパラナ州クリチバ市で拘束された。被害者の写真を撮影した配達員のジョナタ・マウリシオ・デ・ソウザ容疑者は逃亡中で、この他に3人が取り調べを受けている。
 デニルソン容疑者の弁護側は、この手続きは現在も進行中であり、無罪推定を尊重する必要があると主張した。一方、ムリーロ容疑者の弁護士は無罪を主張しているが、最初の11件のケースでは、金融プラットフォームへのアクセスデータを他の人達に共有していたことを認めている。
 金融機関は、そのグループによって行われた詐欺的融資を取り消した。警察は現在、被害者の個人情報にアクセスした方法を調査中だ。

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