ミレイがマスクと意気投合=テスラがアルゼンチン投資に関心

「エキサイティングで刺激的な未来へ!」のコメントと共に投稿されたイーロン・マスク氏のX
「エキサイティングで刺激的な未来へ!」のコメントと共に投稿されたイーロン・マスク氏のX

 米国を訪問したアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は12日、米実業家イーロン・マスク氏と会合を行い、SNSのXアカウント停止をめぐるマスク氏とブラジル最高裁判所(STF)判事との問題において「必要な援助は何でもする」と支援を表明した。マスク氏はアルゼンチンのリチウムに注目、ミレイ政権はその投資を歓迎する意向で、電気自動車(EV)大手テスラのアルゼンチン進出の機運が高まっていると同日付エスタード紙(1)が報じた。
 この問題は、アレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が、ボルソナロ支援「デジタル民兵」捜査の関係で多数のXアカウント閉鎖命令を出した後に起こった。マスク氏は同判事が「検閲」していると主張し、Xアカウントへのアクセス制限を命じる措置にはこれ以上従わないと脅した。
 ミレイ大統領とマスク氏の会談は、米国テキサス州オースティンのテスラ工場で行われ、アルゼンチン市場に自動車メーカーが導入される可能性についての噂を呼び起こした。
 テスラ、スペースX、スターリンク、Xのオーナーであるマスク氏は、世界有数のリチウムの埋蔵量を誇るアルゼンチンに注目しており、近々同国を訪問すると約束。ミレイ政権は同氏のアルゼンチン投資に賭けており、アルゼンチン報道陣はこの会談をミレイ訪米のハイライトと考えている。
 競合の中国大手BYDが電気自動車市場をリードしている今、アルゼンチン産リチウムへのアクセスはテスラを強化する可能性がある。マスク氏は、ブラジルを含む埋蔵量の多い中南米数カ国で鉱物を探している。2022年には価格を下げるためなら、リチウム採掘と精製に参入することも厭わないと発言している。
 一方、アルゼンチン政府も国内雇用創出につながる投資を模索している最中。テスラは現在ラ米ではチリとメキシコの2カ所に工場を持つが、ブラジルを含む他国には輸入業者のみだ。ミレイ氏とマスク氏はリチウムの採掘やその後の加工に関する共通の関心を確認した。
 両者の会談は初対面だったこともあり、具体的な発表はなかった。アルゼンチン政府は「お互いを尊敬し、評価し合う2人の指導者の初めての接触だった」と述べた。両者は「自由な市場」と「より少ない官僚主義」が国の進歩に必要であるという点で合意した。経済自由主義という議題は共通の関心事であり、ミレイ氏の大統領選勝利以来、2人の距離を縮めてきたとされる。数時間後、マスク氏は「アルゼンチンは繁栄の準備をしている」と述べ、ミレイ氏も幾度もマスク氏へ敬意を表明した。
 マスク氏はアルゼンチン大統領との会談についてXで「エキサイティングで刺激的な未来へ」と投稿。これに対してミレイ氏は「自由万歳」と書き込んだ。
 同会談に先立ちミレイ氏は11日夜、マイアミで米国の銀行家や実業家のグループと会談し、アルゼンチンの将来について話し合った。フロリダ大学でのイベントにも参加し、ユダヤ人コミュニティから表彰された。

最新記事