貨物室に預けられた飼い犬が、航空会社の手違いで誤った目的地まで運ばれ、長時間のフライト中に死亡する悲しすぎる事故が発生した。同じ便に乗せられるはずの愛犬が目的地で見当たらず、出発地まで引き返した飼い主は、変わり果てた姿になった愛犬と再会したと23日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じている。
5歳のゴールデンレトリバーのジョッカは22日、サンパウロ州グアルーリョス国際空港を出発し、マット・グロッソ州シノップへ輸送される予定だったが、間違えて北東部セアラ州フォルタレーザ行きの便に乗せられた。輸送を担当したゴル航空(Gol)はミスに気づき、ジョッカを出発地まで送り返す措置をとった。
本来の目的地シノップまでの飛行時間は2時間半だが、グアルーリョス空港まで引き返すため合計約8時間も檻の中で放置された。
飼い主のジョアン・ファンタジーニ・ジュニオールさんは事故の翌日、グローボ局の取材に応え、「愛犬が死ぬ前に苦しんでいたことを想像すると胸が張り裂けそうになる」と語った。ジョッカが2時間半の飛行に耐えられるという獣医診断書を、彼は出発前に航空会社に提出していたという。
「飛行機に預けたペットが亡くなるというニュースはよく目にしていたが、自分の身に起こるなんて予想もしていなかった。あの子が苦しんでいたことを考えると本当に辛い。あんな死に方は許されない」と悲痛な胸の内を明かした。
家族によると、ジョッカはフォルタレーザ空港で約36度の炎天下の中、滑走路脇にある搭乗・降機エリアに放置され、食事も与えられず檻の中で約1時間半を過ごしたという。空港職員が給水を行ったがジョッカの体格に対して十分な量ではなかったという。
ゴル航空は声明の中で、今回の件を深く遺憾に思い、飼い主に必要な支援を提供していると発表した。一方、ジョッカの世話をしていた輸送部門GOLLOGチームは、犬の死に驚いていると述べた。同社によると死亡したのはグアルーリョスに着陸した直後だったという。
ジョアンさんとジョッカはサンパウロ州からマット・グロッソ州に移り、新しい生活を始めるところだった。ジョアンさんは「あの子をサンパウロに置いてくることもできたのに、自分勝手だったと思うこともある。私が外出すると、あの子はドアの前で一日中待っていてくれた。私にとって息子のような存在で、最愛の相棒だったのに今はもういない。一番悲しいのはあんな最後を迎えさせてしまったことだ」と言った。
ジョアンさんは「空港で元気な姿で別れたのに死んで戻ってきた。あそこには無関心の連鎖があった。航空会社は私に軽食を提供したが、私に食べる気力があるとでも思っているのか。私が期待しているのは彼らが賠償し、責任を取ることだ」と訴えた。
ゴル航空は民間航空監督庁(Anac)と協力し、原因究明のための調査を最優先で進めていると発表し、30日間ペットの輸送停止を決定した。機内への持ち込みが許可されているペットについては、引き続き受け入れ可能であることを明らかにした。