日本政府は29日、令和6年春の外国人叙勲受章者を発表した。ブラジルからは外国人叙勲4人、邦人叙勲4人となった。外国人受勲者の経歴は次の通り(敬称略)。
西森弘志ルイス(76歳)=旭日中綬章=パラナ州マリンガ市在住。現連邦下院議員兼伯日友好議連会長、元パラナ州議会議員。パラナ州議会議員を経て、2011年から連邦下院議員を務める日系人政治家。約90人のメンバーを有する伯日友好議連の会長として、日伯両国間の関係強化に尽力。これまで行われたブラジル日本人移住周年記念行事では、祝賀委員会委員などを務め、皇族や政府要人の迎え入れに尽力し、成功に導いた。
パラナ州と姉妹県である兵庫県との交流活性化、同氏が幼少期から青年期を過ごした高知県とも積極的な交流を行っている。
経済分野において伯日経済ミッションの団長として25回訪日し、農業分野での日伯協力促進のため日伯双方の関係各方面と連携を図ってきた。パラナ州議会議員時代にも、パラナ州内企業と主に農業分野における日伯貿易促進に貢献した他、パラナ州進出日本企業から、州税にかかる相談を受ける等、日本・パラナ州連携強化に多大な貢献を行った。
ソニア・マリア・ビビ・ルイテン(75歳)=旭日双光章=サンパウロ州サンビセンテ市在住。現日本漫画評論家・研究家。
ブラジルにおいてポップカルチャーを学術的題材として扱うことが極めて稀だった1985年頃、初めて日本の漫画に関する論文を発表し、日本の大衆文化を分析する先駆者的存在となった。日本文化の基盤、比較文化理論の研究発表の業績を残している。南米諸国に対しても現代日本文化を発信し、日本との関係構築、交流に大きな功績を残した。
日本やブラジルの大学で、漫画や語学、文学の講義を行い、両国間の文化理解促進及び学術交流に貢献した。
ブラジル漫画家協会(ABRADEMI)創設者の一人である。ブラジルの漫画版オスカー賞「Troféu HQ Mix」を2度受賞。現在は同賞選考委員会のメンバーとして活動し、精力的に漫画研究を行っている。
ソニアさんは「この度は名誉ある叙勲を受けることができたことを光栄に思うと共に皆様に感謝しています。政治や日系社会に貢献されている方が受章される中、私の研究分野のポップカルチャーで受賞できたことにとても感激しています」と語った。
ソウハク・ライムンド・セーザル・バストス(75)=旭日双光章=リオ・デ・ジャネイロ州リオ・デ・ジャネイロ市在住。日伯文化協会会長。
日伯文化協会審議会員を14年間務めた後、2015年から現在まで日伯文化協会会長を務めている。協会運営や各種日本関連イベント及び教室の運営を担ってきた。リオにおける日本の存在感向上とともに、日本文化の普及、二国間関係の深化に貢献してきた。活動拠点の増設を目標に掲げ、ラランジェイラス支部の立上げを主導した。
2018年の日本人ブラジル移住110周年時には、周年事業実行委員会副委員長を務め、各種周年事業の実現に努めた。同年7月の眞子内親王殿下のリオ訪問準備に尽力し、同訪問の成功に貢献した。
アントニオ・テルオ・カトウ(69歳)=旭日双光章=パラナ州パラナヴァイ市在住。元パラナヴァイ市長。元パラナ州議会議員。元パラナヴァイ体育文化協会会長。
パラナヴァイ市長として市内の学校の教育の質を向上させるため、日本的価値観の普及に取り組み、「市長・児童賞」を2年連続で受賞。パラナ州における日系社会の地位向上に貢献した。パラナヴァイ市と愛知県豊橋市の間で教育交流が開始されると、パラナ州議会議員として二度豊橋市を訪問した。
100周年時に皇太子殿下がパラナ州を御訪問された際、日系社会を代表して謁見した。105周年記念式典の開催を単独提案して実現を主導した。また、パラナ州議として3度にわたり訪日経済ミッションに参加し、両国経済関係の強化にも尽力した。
令和5年末までの2年間は、パラナヴァイ体育文化協会会長として、コロナ禍後初となる「パラナヴァイ春祭り」を開催し、日本文化の継承及び発信に努めた。