【既報関連】リオ・グランデ・ド・スル州が暴風雨と大水害に見舞われる中、商店での略奪、救助ボートへの襲撃などの二次被害が多発し、被災地域の治安悪化が深刻となっている。被災者らの不安を煽るだけでなく、恐怖心から夜間の作業を断念するボランティアも相次いでいると、6日付テラ・サイトなど(1)(2)が報じた。
州都ポルト・アレグレ市のサンジェラルド地区では、浸水したマンションに侵入する強盗を住民が通報、銃声も聞こえたという。住民によると、窃盗団はボートを使って窓から家屋に侵入し、住人が上層階に運び上げた家具や調理器具を盗んだ。ボートで移動中のボランティアに対する強盗も報告されている。
6日夜、同地区の住民が犯罪抑制のため、交代で監視パトロールを行った。自分が住むマンションの向かいの建物に、不法侵入する人たちの姿を目撃した住人もいる。
ポルト・アレグレから約38キロ離れたサンレオポルド市では、犯罪者が浸水地帯で助けを求める振りをして救助ボートを呼び、その救助乗組員を水中に投げ込んでボートを乗っ取り、それを使って浸水家屋を襲うという手口を使った犯罪が多発している。
同市は全人口22万人のうち、約18万人がシノス川の氾濫の被害を受けたと発表した。
さらにポルト・アレグレ北部に位置するサッカーチーム「グレミオ」のスタジアム内にあるスポーツ用品店などの商店では3日以降略奪が相次いでいる。
州都から西側に広がる近郊ヴァーレ・ド・タクアリ地域のアロイオ・ド・メイオ市でも、市場、商店、薬局などの商業施設での略奪が複数件報告されている。3日には1人が撃たれ、病院に搬送された。
5日、首都圏カノアス市マチアス・ヴェーリョ地区でも、救助ボートに無理やり乗り込もうとした2人の男が、現行犯逮捕される事件が発生した。人口約35万人の同市は、今回の災害で最も大きな被害を受けた自治体のひとつであり、面積の2/3以上が洪水によって壊滅的な被害を受け、1万5千人以上が家を失った。
治安悪化を受けてカノアス市、ノバ・サンタリタ市、エステイオ市、サプカイア・ド・スル市の各自治体を管轄する軍警首都圏警察司令部(CPM)は、2隻のボートで浸水地域の緊急パトロールを開始した。さらに6日には国家安全保障局報道部は6日、軍警特殊作戦部隊(BOPE)が犯罪者の行動を抑制するために警備に就くことを発表した。
軍警によると4日に救助活動に参加した30隻の民間ボートのうち、5日までに活動を再開したのはわずか20隻だったという。
連邦政府は5日、同州の2/3にあたる、336の自治体に対し非常事態宣言を発した。道路や橋が破壊され、未だに孤立した地域があり、住民が救助を待っている状態が続いている。また、何十万人もの住民が停電と断水に見舞われている。
7日には寒冷前線の影響で気温が下がるため、避難条件が悪化し、野外や雨の中で救助を待つ人々の低体温症のリスクが高まる可能性を懸念されている。