岸田文雄内閣首相は4日、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会ビルで行われた歓迎会の後、同協会ビル大講堂前大サロンに特設されたスペースで、ブラジル在住の被爆者3人、車椅子の森田隆さんに加え、盆子原国彦、渡辺淳子さんと5分ほど懇談した。
盆子原さん(83歳、広島県)によれば「核兵器禁止条約にぜひサインをしてほしいと首相にお願いしたら、『核を持っている国々をその条約に入れるための努力をしなければいけない。そのために日本政府は行動している』と答えてくれました」とのこと。
森田さんが会長を務めていたブラジル被爆者平和協会が2014年の設立30年を機に編纂・刊行した、広島や長崎で被爆した後に南米へ渡った90人の証言集『南米在住ヒバクシャ 魂の叫び』(247貢、コジロー出版)をプレゼントすると、岸田首相は「貴重な本をいただき、ありがとうございます。読ませてもらいます」と答えたという。
渡辺さん(81歳、広島県)は「首相を目の前にして話をさせてもらった。とても柔らかい雰囲気、気さくな方で、普通に話ができた。私たちがブラジルで被爆体験講演を通して平和活動をしていることを『頑張っておられることはよく知っています。運動をしてくださってありがたい。お体に気をつけてください』と励まされ、とてもうれしく思いました」と述べた。
懇談に参加しなかった被爆者の一人、池田美保子さん(84歳、広島県)も「首相とは握手し、『どうぞお元気で長生きしてください』と声を掛けられました」と喜んでいた。
そのすぐ後にブラジル広島文化センター(県人会)の重田エウゾ会長、吉広ロベルト貞夫前会長、平崎靖之元会長、立花愛子理事、伊東伸幸理事の5人が面会した。
代表して話した平崎さん(78歳、広島県)によれば、「来年は県人会創立70周年です。60周年の折には県知事と広島市長がそろって来ていただきました。来年もぜひお願いしたいです」とお願いすると、「首相は『帰ったらすぐ県知事と市長に連絡しておきます』と言ってくださいました。とても嬉しかったです」と報告した。