ブラジル南部で10日間、激しく降り続いた豪雨の影響で、リオ・グランデ・ド・スル州に位置するグアイバ湖は歴史的な高水位5・33mを記録し、150万人の州都ポルト・アレグレ市の大半が水没した。来週まで洪氾濫水位の3mを超えたままだと予想されているが、水はけが悪い理由に低地の特殊な地形が影響していると、7日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
ポルト・アレグレ市の平均標高は10mしかなく、複数の川の合流点でもあるグアイバ湖の北端部に位置し、最南部には海への出口リオ・グランデがある。海の高潮時に豪雨や河川増水が起きると、湖水の過剰蓄積を引き起こし、都市部にあふれ出て洪水になるという特有の地形となっている。平野で高地のない地域であるため水の排水が困難になる。
グアイバ湖は周囲の川(ジャクイ川、タパリ川、カイ川、シノス川、グラヴァタイ川)の合流点であり、大雨が続くと広い地域から多くの水を受け取る。これにより湖の水位が急上昇し、洪水が発生しやすくなる。と同時に、洪水は近隣の低地にある自治体に広く被害を及ぼす。
また大西洋上にある猛烈に発達した低気圧が豪雨を降らすと同時に、高潮を発生させて海水位を上昇させ、湖水が海に流れ出ることを防ぐのだという。
都市圏の水の排水が難しい状況を加速させているのは、都市の急拡大や農業モノカルチャー(単一作物広域栽培)といった人為的な要因もあり、これらの要因が20年間で特に顕著になってきた。
今週末の予報では新たな雨が河川の水位を上昇させる可能性があり、これによって都市への洪水のリスクがさらに高まるとの警告が出ている。
9日付のテラ・サイト(3)によれば、同市の湖面側には「ムーロ・ダ・マウア」と呼ばれる複雑な構造を備えた堤防がある。これは都市を脅かす洪水を抑え込み、排水するために建設されたもので、総延長68kmの外部堤防、内部堤防、防護カーテン(ムロ・ダ・マウア)によって保護されている。
そこには14の水門、23の大型ポンプ付きの建物が建設されている。この堤防は1941年の過去最後の洪水以降、数十年にわたって建設された。だが、この度の歴史的な水位上昇には耐えられなかった。
とはいえ、この堤防のおかげで今回、より悲惨な状況にならずに済んでいる部分はある。その建設は今後再検討され、再考され、拡張される必要がある。これは、気候変動によるさらなる激しい自然の要求に対応するためだと報じられた。