ケミカルピーリング直後に死亡=有名美容インフルエンサー施術

亡くなったエンリケ・ダ・シルヴァ・シャガスさん(左)と「ケミカルピーリング」の施術例(右)(4日付SBTニュースの記事の一部)
亡くなったエンリケ・ダ・シルヴァ・シャガスさん(左)と「ケミカルピーリング」の施術例(右)(4日付SBTニュースの記事の一部)

 サンパウロ市南部カンポ・ベロ市のクリニックで3日、化学物質フェノールを使用した顔面美容施術を受けた直後に、男性が死亡する事故が発生した。警察は、男性が何らかのアレルギー反応を起こし、アナフィラキシーショックによって死亡した可能性があるとして、クリニックが施術許可を持っていなかった疑いで捜査が進められている。5日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
 同施術は「ケミカルピーリング」として知られ、顔に酸を塗布して皮膚表面の角質細胞の接着をゆるやかにし、角質層に蓄積された薄い角質を除去する治療方法だ。皮膚再生を促すため、シミや小ジワを除去することが期待される。だが人によっては施術直後に水泡やかさぶた、はれ、発疹等が起きることがあるという。
 警察によると、被害者エンリケ・ダ・シルヴァ・シャガスさん(27歳)は以前から顔の傷跡を目立たなくするために同施術を受けたいと言っており、ナタリア・ベッカー容疑者のクリニックを選んだという。彼女はインスタグラムで20万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーとして美容業界では名が知られていた。
 エンリケさんは事前にアレルギー検査は受けておらず、施術当日、皮膚のクレンジングと麻酔の塗布の後、フェノールが浸透しやすくするために皮膚表面を削る措置が行われただけだった。
 エンリケさんのパートナーによると、施術直後、エンリケさんが震えだし、大きく口呼吸をし始めたため、クリニックのスタッフに助けを求めた。病院に救急搬送されたが、エンリケさんはそのまま帰らぬ人となった。彼は、顔と歯茎に重傷を負っていたという。
 ナタリア容疑者の夫で、クリニックの共同経営者でもあるジョルジ・マセード・ダ・クーニャ氏は、ケミカルピーリングは表面的な処置であり、事前の検査は必要ないと主張していた。
 4日、同クリニックは現行の法律に準拠していない施術を行ったとして、市衛生監視局から営業停止と罰金を科された。ナタリア容疑者は同措置を施す資格を有していなかったとしている。従業員によればケミカルピーリングは日常的に行われていた。
 連邦医学評議会(CFM)によれば、顔に酸を塗るこの処置は身体に負担を与える治療とみなされ、専門医が行わなければならないとする。2016年に発表された同組織の見解では、「皮膚には個々の特徴と反応があり、予測できない反応は比較的頻繁に起こる」と述べられている。
 ブラジル皮膚科学会は、この物質には毒性があり、患者に不整脈を引き起こす可能性があるため、処置は心臓のモニタリングが可能な医療現場で行うべきだと警告している。患者が事前に臨床検査、血液検査、心電図検査を受ける必要があるとも強調した。
 現在、被害者の死因と塗布されたフェノールの量を明らかにするために、法医学研究所で検査が進められている。
 ナタリア容疑者は、事件当日に自身のSNSアカウントを停止して行方を晦ましていたが5日午後、夫に付き添われ警察に出頭。この事件は現在、殺人事件として捜査中だ。

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