ブラジル北東部バイア州の州都サルバドール市で9日、27歳の妊娠中の女性が恋人からの暴行から逃れるためにマンションの5階(日本の6階)から身を投げた。被害者は木製の床の上に落下し、それが衝撃を和らげ一命を取り留めた。だが女性と容疑者男性の言い分が異なっており、捜査が進められていると12日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
この事件は、海岸に程近いルイス・ヴィアナ・フィーリョ街にある容疑者宅の高級マンションで発生した。被害者女性イルダ・フランシーネ・アルメイダ・ドス・サントスさんは転落後に大量出血したものの意識はあり、体の痛みを訴えて州立総合病院に救急搬送された。身体に複数の骨折を負い、骨盤の関節に1・7センチの切り傷を負ったが、翌日の10日に退院した。しかし、お腹の赤ちゃんの命は助からなかった。
イルダさんの恋人イゴール・コスタ・カンポス容疑者(39歳)が現行犯逮捕され、女性支援専門警察署(Deam)に連行された。11日午前、同州地方裁判所で拘留審問を受け、予防拘置に切り替えられた。
TVバイアが入手した情報によると、イルダさんは同市で働くために、アラゴアス州マセイオ市から30日前に転居したばかりだった。彼女は職場で容疑者と会い、すぐに交際に発展。容疑者宅で2週間同棲していた。しかし、すでに妊娠中であることをイルダさんが告げると口論に発展し、容疑者は彼女を襲い始めたとみられている。
イルダさんの証言によると、彼女が容疑者の「知人」と関係を持っていることを非難し始め、彼女がそれを否定すると、容疑者は攻撃的に反応したという。嫉妬の怒りの中で殴られ、蹴られ、「売女」や「ゴミ」などと罵られたという。そして彼女は部屋に鍵をかけ、「二度と彼に殴られないよう必死の思いで窓から身を投げた」と話していると言う。
一方、イゴール容疑者はイルダさんの髪を引っ張ったことや耳を噛んだことは認めたが、それ以外の暴行は否認し、最初に頭突きをしたのは女性の方だと述べた。イルダさんがマンションから身を投げたのは、彼が関係を終わらせようと告げたからだと説明しているという。彼女がうつ病を患っており、自殺すると仄めかしたことがあったとも証言している。
容疑者の弁護士であるカルロス・マグナヴィタ氏は、「イゴール氏が女性を襲ったことは一度もなかった。それどころか、彼女がマンションから飛び降りるのを制止していた。直前に二人は口論になり、女性が寝室に閉じこもった」と語った。
近隣住民の証言によると、このカップルは喧嘩が絶えず、違法薬物を常習していたという。また被害者は、イゴール容疑者は事件当日アルコール、大麻、コカインを使用していたと証言している。
今のところ、被害者の健康状態についての詳細はわかっていない。同件は故意の傷害事件として、警察による捜査が進められている。