RS州大水害=「日本の強み活かして防災協力」=ポルト・アレグレ領事事務所 清水所長に聞く

在ポルト・アレグレ領事事務所の清水一良所長

 リオ・グランデ・ド・スル(RS)州の大水害を受け、世界各国が復興支援の手を差し伸べる中、日本政府も5月に緊急援助物資として浄水器を供与した。今後の復旧復興、そして災害対策に向けて日本として何ができるのか―。在ポルト・アレグレ領事事務所の清水一良所長に聞いた。
―5月の大水害を受け、領事事務所はどう動きましたか。
 第一に、在留邦人の安否確認と注意喚起を実施しました。4月30日から3度、在留届の提出者と「たびレジ」(海外安全情報配信サービス)登録者へ注意喚起と安全確保を呼びかける領事メールを発出しました。当事務所が管轄するRS州における在留邦人数は、在留届ベースで約1千人、約90%以上の方が永住者。RS州内の日系団体や被害が大きい地域の在留邦人に対して個別の安否を確認し、被害状況の把握に努めました。ポルト・アレグレ市に本部を置く「南日伯援護協会」(南援協、谷口浩会長)からは、同協会メンバーの状況について情報共有を頂いています。
 第二に、今回の大水害では日系コミュニティも南援協本部事務所を始めとして、多くの家や店舗が浸水被害に遭っています。そのような状況においても当事務所を閉じることなく時間短縮もせず、通常どおりに業務を行う事が皆さんの安心につながると信じて、職員と共に窓口を開け続けました。
 幸いにも当事務所は停電にはならず、所在地区は断水になったものの、事務所に設置しているタンクの水で凌ぐことができました。短期邦人旅行者の被災に備えた緊急備蓄品も直ぐに手交できるように用意していましたが、幸い要請はなく安堵しました。
 また、RS州の被災状況は、州政府の公式発表をもとに日々外務本省を始めブラジル関係公館等と共有していました。RS州と姉妹県州の関係にある滋賀県やポルト・アレグレ市、ペロータス市とそれぞれ姉妹都市である石川県金沢市と同県珠洲市に対しても被災状況を伝えています(それぞれ御見舞いのメッセージが届いている)
―現地日系コミュニティをまとめる南援協も、本部事務所や巡回診療に使うバスが浸水被害を受けています。
 先週ようやく水が引き、南援協本部事務所の清掃作業が始まりました。今後、どのような支援ができるのか可能性を探っているところです。巡回診療車は日本政府の「草の根無償プロジェクト」で供与されたもので、今後も巡回診療は地方に住む1世の方々を中心に高いニーズがあると思います。当面は代替車両で巡回診療を再開する見込みと承知していますが、やはり巡回診療に適した車両が必ず必要になると思うので、保険でカバーできない部分など前向きに支援を検討していきたいと思います。
―復興へ向けて、今後のサポートは。
 日本政府として、緊急援助物資の供与に続き、RS州政府、連邦政府が実施する復旧復興プロジェクトに対して、毎年のように自然災害の被害を受けている日本が、これまでの経験や対策を活かせる防災対策の分野で実効性の高い協力ができるのではないかと考えているところです。
 既に、日本の防災対策の現状や歴史などをコンパクトにまとめた動画や資料(JICA提供)をRS州政府や州防御局に紹介していますので、今後RS州政府は、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学の水理研究所(IPH:砂防専門家の小檜山教授も所属)と連携していく方向性が示されていることから、我々としても、州政府を始めとする関係機関との協力を探りながら、RS州の復旧復興に効果的な支援をしていきたいと思います。

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