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ピザ注文のフリで家庭内暴力告発=『トッピングたっぷり』と警察に

警察のボディカメラの映像には加害者逮捕の瞬間が捉えられていた(18日付G1サイトの記事の一部)
警察のボディカメラの映像には加害者逮捕の瞬間が捉えられていた(18日付G1サイトの記事の一部)

 ブラジル南部パラナ州の北西部パラナヴァイ市で16日、ある女性が家庭内暴力の被害に遭っていた最中に、市警備隊(市レベル警察組織)の緊急番号に電話し、ピザ注文のフリをして住所を伝え救助を求めた。これにより、警察は被害者の居場所特定が容易となり、加害者を現行犯で逮捕できた。
 被害者によれば、これまでも警察に通報したが、それに気付いた加害者が逃げていた経験があり、テレビのニュースで類似の事例を思い出し、この方法を試みた。電話を受けた警察職員の機転が被害者を救うのに役立ったと18日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 被害者女性の電話を受けた職員は、被害者が「ピザを食べたい」というのを聞き、すぐに助けを求める電話だと理解し、女性が告げた住所に迅速にパトカーを派遣した。
 警察の制服に装着されたボディカメラの映像が一部始終を捉えていた。警察が到着すると、被害者の11歳の息子が家の外で待っていて、「母親が殴られている」と助けを求めた。警官が家に突入すると男がソファに座っており、女性がむせび泣きながら「夫に蹴られ殴られた」と話した。加害者である夫は現行犯逮捕され、警察署に連行された。
 この事件を担当したカルロス・エドゥアルド・シルヴァ巡査は、電話を受けた職員の行動が、暴力の被害者を救う上で重要だったと報告している。「電話の主がピザを頼んだので、彼は『この番号は警察の緊急電話だ』と説明したが、それでも女性は『ピザが食べたい』と言い張るため、彼はそれが助けを求める電話であることを直感。彼は女性に『もしあなたが暴行を受けているのなら、トッピングのあるピザが食べたいと言ってください』と語りかけると、彼女は『トッピングが“たくさん”のったピザが食べたい』と返事をしたため、彼は迅速にチームの派遣依頼を行ったのです」と説明した。
 警察によると、加害者は被害者への接近禁止命令を受けていたが、従わなかった。被害者は、加害者が自宅にやってきても、彼を追い出す力がなかったと説明したという。
 女性への暴力は、ブラジル全土で増加の一途を辿っている。応用経済研究所(Ipea)が18日に発表した「アトラス・ダ・ヴィオレンシア(暴力地図)」調査報告によると、2022年に報告された女性への暴力事件のうち、家庭内暴力と家族内暴力が全体の2/3(65・2%)を占め、合計14万4285件に上った。最も多く報告されている犯罪は身体的暴力で36・7%を占めている。(3)
 この事件が起こったパラナ州保安局(Sesp)のデータによると、2024年1〜4月までの間に女性に対する暴力事件は、既に8万1389件記録されており、その内2万4509件が家庭内暴力だという。
 女性支援センターでは暴力の通報を受け付け、女性の権利について助言し、必要に応じて他のサービスへの案内もしている。24時間受け付けており、電話番号「180(通話料無料)」、電子メール(ligue180@mdh.gov.br)、無料アプリ「プロジェッタ・ブラジル(Proteja Brasil)」、オンブズマンのウェブサイトからアクセスできる。

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