ブラジル福島県人会(佐藤フランシスコ会長)は15~16日、サンパウロ市イビラプエラ公園内日本館で、母県文化紹介イベント「Fukushima Viagem Cultural」を初開催した。天候にも恵まれたことから両日とも多数の来場者で賑わった。イベントでは自然災害に関する講演や県産日本酒の紹介、伝統芸能披露などを通じて来場者に福島県の魅力を伝えた。
イベント初日の15日には、元在名古屋ブラジル総領事館副領事の佐々木リカルドさんが、「福島、災害から復興まで」をテーマに講演。災害大国日本に暮らす日本人がいかにしてその困難を乗り越えてきたかについて「忍耐力」と「協力性」の観点に焦点を当て解説した。
16日には佐藤会長が「日本の自然災害の歴史」をテーマに講演。日本の自然災害史を紹介しながら、2011年に発生した東日本大震災について、「約1・6万人もの方が亡くなられたが、マグニチュード9・1という地震の規模からすればこれでも被害は抑えられている」と日本が自然災害を経験する中で積み重ねてきた災害への備えが現代でも活かされていることを称賛した。
また、昨今の福島県第一原子力発電所ALPS処理水(放射性物質を安全基準を満たすまで浄化した水)海洋放出に対して中国が国際的な批判活動を展開していることについても触れ、「ブラジルのアングラ発電所でも海洋放出は行っている。放射性物質は、空気や飲み水などすべてに存在している。ALPS処理水の放射性物質量は海水よりも少ない安全なもの」と説明した。
佐藤会長の講演後は、輸入商社「Nippon Bebidas」の川添博さんが「日本酒の文化」をテーマに講演。川添さんは「福島県は品評会で金賞を受けた日本酒が一番多い『日本酒県』として知られている」と紹介。日本酒の歴史や日本酒にまつわる行事を紹介し、県産日本酒の試飲も行った。
会場では和太鼓と盆踊りなどが披露された。両舞台に出演したアチバイア福島県人会のルカス・シルヴェイラさん(36)は22年間にわたって県人会の活動に参加してきた。初開催となる今回の催しについて「来場者の反応が積極的でとても嬉しかった。県人会の活動に長く携わっていますが、福島県について深く知る機会は少なく、今回の催しを通じて、地震などの災害を乗り越えてきた強さや知恵、助け合う人間性を知ることができ、福島県をより誇りに思うようになりました」と笑顔で語った。