日毎叢書企画出版(前園博子代表)の『楽書倶楽部』第73号が15日に発行された。読みどころ満載のコラム42篇が掲載された充実の132頁だ。その断片をここに紹介する。
含蓄のある内容を書くことで定評のある毛利律子さんは今回も「類は友を呼ぶ」と題したコラムで、「相性が合う・合わない」とは何か、親子関係における残酷な現実と教訓「子は親と同じではない」ことを粛々と説く。
その上で、最高の友がいる場所「蘭室」という言葉の意味として、「気に入った仲間を探すのではなく、自分より優れている人々の仲間に入ること。そこでは互いが良い刺激を受け生長します。(中略)そのような倶楽部には麗しい花の香りが充ちているという古くから伝わる言葉です」と締めくくり、それは楽書倶楽部ではと示唆する。
モジ文協役員などを歴任する秋吉功さんは「食は薬、薬は食」とのコラムで、JICAシニアボランティアから料理の大切さを習って以来、「次第に料理の楽しさに加え奥深さ、有益性に気付き始めた」と綴る。「人は五感で一番幸せを感じるのも美味しい食事を食べた時だ。また、バランスよい食事をしていると医食同源、病にならず医者や薬要らずである」との考えに至り、以来、毎日三食の料理を秋吉さんが担当することになったという。
さすが技術移民だけあって、特製「スープの素」をまとめて作って冷蔵庫に保存し、それの味付けをかえてカレー、ハヤシライス、味噌汁などに変身させる。また野菜炒めを多めに作って、翌日の焼きそばやラーメンの具にするなど合理的な献立を練り上げており、実に役に立つ内容で理系の冴えを感じさせる。
佐藤美子さんの「右の不思議?左のナゾ」には様々な移住生活の思い出話が綴られ、最後は「考えてみると、私は、戦後の十年近くお風呂どころか、井戸もなく、川の水に頼る日々がありましたが、老後の今、シャワー嫌いな私のために毎日お風呂も準備してもらい、湯舟で正座するのが日課になり、穏やかな毎日を過ごせて幸せです」と締めくくられている。
購読申し込みや作品投稿についての問い合わせは前園博子さん(電話11・3341・2113、Eメールnitimaisousho@gmail.com)まで。