本社がアルゼンチンにあるニュースサイト「インフォバエ」6月24日付記事(1)によると、南米ペルーの治安が悪化しており、2023年には盗難が約320万件も発生した。3405万人の人口からすれば、国民の10人に1人が盗難被害にあっているという計算になる。
これは、国家統計情報庁(INEI)の報告書『ペルー:経済貧困の進展2014−2023年』に基づいており、同国における犯罪増加だけでなく、2023年の市民の安全水準は2017年レベルに後退していることを表している。
5月発表の同報告書によると、都市部に住む15歳以上の市民の27・1%が犯罪の被害に遭っており、都市部人口に基づく推計によると、昨年少なくとも317万5931人のペルー国民が盗難の被害者となった。
現地紙エル・コメルシオの調査によれば、都市部における15歳以上の国民の間では携帯電話、財布、車両などの貴重品の盗難被害率は15%に達した。
同調査によれば、2021〜23年までに、何らかの犯罪の被害に遭ったと報告した国民の割合は18・2%(2021年)から27・1%(2023年)に増加。この統計の推移を見ると、この数字は2016年(28・8%)と2017年(26・4%)の間に記録されたレベルだ。
これには脅迫や威嚇、家族に対する身体的・心理的虐待、性犯罪、誘拐または誘拐未遂、恐喝または恐喝未遂、詐欺、業務上の窃盗などの犯罪形態が含まれる。盗難に関してだけでも被害率が15%で、2018年と同じ水準に戻ったといえる。
盗難被害率が最も高い地域はマドレ・デ・ディオス県で、人口の22%が被害を受けている。プーノ県の20・9%、フニン県の19・3%、タクナ県の18・8%が続いた。リマ大都市圏では17・1%と比較的低いが、人口密度が高いためこの割合は約150万人の被害者に相当し、全国で8位に位置している。
国内で最も多く記録されているのは携帯電話、財布、金銭の盗難で、被害者数は人口100人あたり12・1人、被害者数は250万人以上に相当する。
自動車部品の盗難や業務上の窃盗もかなりの件数を占めており、それぞれ30万7千人と20万4千人が被害に遭っている。報告書には、2023年11月〜2024年4月に発生した犯罪について、被害者のわずか16%しか通報しなかったと指摘した。
開発研究ネットワーク(RED)のエコノミストであるグスタボ・メサ氏は「このような状況は犯罪を掌握するための当局の努力に悪影響を及ぼす」と強調し、「公的組織への信頼の欠如は、その役人らの汚職の認識と密接に関連している。人々が信頼しない限り被害を報告しないし、報告がなければ当局は適切な手続きを開始することができない」との悪循環を語った。
INEIは15〜49歳の女性が受けた、パートナーまたは配偶者による暴力の状況についても発表しており、同国では2023年に10人中3人が何らかの攻撃を受けたと報告した。この指標によると国内では2023年に女性の34・5%がパートナーや配偶者によって暴力を受けたと回答しており、2022年(35・6%)と比較して1・1ポイント減少しているが、INEIはこのデータを「有意ではない減少」としている。
同データは既婚女性だけでなく、現在または過去にパートナーや配偶者から精神的、身体的、性的な暴力を経験したことがある女性も含まれる。