2023年8月から、パラー州ベレン市で日本語教育隊員として活動している菊池優衣です。任地のベレン市は、ブラジル北部アマゾン河口に位置する、人口150万人程の大都市です。最初にベレンと聞いて調べたときに赤道直下のどんなに暑い場所に行くことになったのだろう…と心配になりましたが、着いてみると一年を通して高温多湿で雨が多い気候であるものの、日陰や朝晩は涼しく、日本で想像していたよりずっと過ごしやすい街です。そして、たくさんのおいしい郷土料理があり、人もフレンドリーであたたかい人が多いところで、すぐにベレンの魅力に引き込まれました。
少しベレンで出会った食べ物の紹介をさせていただきます。例えば、タカカ(キャッサバの汁から作られた黄色いスープの中にジャンブーという痺れる葉とエビが入っています)やマニソバ(キャッサバの葉を肉と共に7日以上煮込んで作った真っ黒の煮込み料理で見た目に驚きますが大好きになりました)など独特の料理があり、とてもおいしいです。
果物も豊富であり、マンゴー並木の町ベレンと言われるほどマンゴーは手に入りやすく、日本では見たことのなかったクプアスやバクリ、タペレバなどのトロピカルフルーツを味わうことができ、アサイーも名物です。
日系コミュニティがしっかり根付いており、日本文化を伝えるイベントや日本食もたくさんあります。月1回ある日本フェイラに行くと、天ぷらやうどん、餃子、菓子パン…ブラジル風にアレンジされたホッチロール(揚げた寿司)なども売っています。材料がなくてもある食材を使って工夫して作っていらっしゃる料理上手な方が多く、お家に招待していただいたり、おすそ分けで、いなり寿司や酢の物、煮物…などをいただくこともあり、こんなにも日本から離れた遠い土地で懐かしい日本の味が味わえるなんて想像していませんでした。
配属先である越知日伯学園は、日本で素敵な出会いをしてブラジルに嫁いでこられた日系一世の学園長により創設された、幼稚園から中学校と日本語学校を併設して運営する私立学校です。
モンテッソーリ教育法を取り入れ、語学や太鼓、バレエ、空手なども学ぶことができます。授業は午前と午後の2部構成になっており、日本語の授業については、小中学校の通常学級の午前の部では各学年週1コマ、1日コースの午後の部では週2コマ行われています。
非日系が8割を占めていて、日本の文化や教育に関心のある方が多く通っています。私を見て「おはようございます」と挨拶してくれ、ハグをしてくれる子どもたちがたくさんいます。小学生の授業ではひらがなや単語を教えたり、行事の紹介や折り紙をしたりしています。ベテランの日本語の先生方も多く教えていただくことも多いので、日々学ばせていただきながら学校の一員として活動しています。
また、子供向けの日本語の教科書を作成したり毎月日本を伝える新聞を作ること、日本食販売や文化祭、弁論大会などの様々なイベント事にも積極的に取り組んでいます。
日本から遠く離れたブラジルで、少しでも日本に興味を持ってくれる人が増え、子どもたちの視野が広がる手助けができたらいいな、との思いを胸に、残り1年少しの任期を楽しみながら、頑張っていきたいと思っています。