ブラジルでは美容整形施術失敗による被害が後を絶たない。SNSで5万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーで、33歳のモデル女性が、お尻を大きくする美容施術を受けた後に死亡した。施術したクリニック経営者が逮捕されたが、彼女は営業許可も技術管理者資格も取得していなかったと、3日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
亡くなったアリーネ・マリア・フェレイラさんは、ブラジル中部ゴイアニア州ゴイアニア市の美容クリニック「アメ・セ」で、左右の臀部に各30mlのアクリル樹脂(PMMA)を注入する施術を受けた。施術は6月23日に行われ、そのまま自宅のある首都ブラジリアに戻ったが、翌日に発熱や腹部不快感などの体調不良になった。
アリーネさんの母親は医者に診てもらうよう勧めたが、美容施術を行ったクリニックからは「発熱するのは普通のこと」と言われたため、解熱薬を服用するだけにとどめた。
しかし数日経っても症状は一向に改善せず、27日に気を失って倒れ、夫が病院に搬送した。この時のアリーネさんは低血圧で心拍数が非常に速い状態だったという。その後、数時間の間に健康状態が急激に悪化し、29日から集中治療室(ICU)に入院していたが7月2日に息を引き取った。
同クリニック経営者で、施術を行ったグラジエリ・ダ・シルバ・バルボサ容疑者(39歳)は3日、違法な医療行為、危険性の高いサービスの提供、消費者の権利や法律に違反する行為を行った疑いで逮捕された。警察の調べにより、彼女は営業許可も技術管理者資格も取得していないことが判明。生物医学の医師であるかのように装っていたが、その学歴は見つからなかった。
アリーネさんは結婚しており、二人の息子を持つ母親だった。彼女はモデルとして活動し、自身のインスタグラムではファッション、ライフスタイル、整形施術に関する投稿を行なう美容系インフルエンサーだった。
PMMAは顔や体の美容治療、主に臀部増大のための真皮充填剤として使用され、即効性があるため人気が高い。しかし、PMMAの組成は炎症反応を引き起こす可能性があり、注入された身体組織の変形や壊死を引き起こす恐れがある。
国家衛生監督庁(ANVISA)は、同物質を最大限のリスクがあるものとみなしており、訓練を受けた医療専門家によってのみ使用が許されている。