戦中に迫害された枢軸国移民描く=イタリア系監督が実録映画完成=「強制収容に衝撃。信じられない」

ポルトアレグレにて、フランシスコ監督と腕を組んでるドイツ移民のクルツェンバウムさんは第2次世界大戦中、無罪のスパイ容疑で収容されていた。フランシスコ監督が驚いたエピソードの一つだ

 フランシスコ・マルガジ監督(66歳)が、第2次世界大戦中のブラジルで敵性国民として迫害された日独伊三国同盟移民と収容所を題材にしたドキュメンタリー映画『枢軸国の臣民』を2017年から制作しはじめ、6月に完成した。公開日程は未定だが、同監督は「この歴史をより多くの人に知ってほしい」と呼びかけている。

 「第2次世界大戦中に敵国だった日独伊からの移民は、ブラジルで母語の使用を禁止された。何故、ブラジルはそんなことをしたのかが疑問だった」というのが、同監督がこの作品を撮り始めたキッカケだ。
 フランシスコ監督は、戦前にブラジル移住した父を持つイタリア系ブラジル2世だ。家族に連れられ、幼い頃にブラジルに移住した父は、イタリアに興味を示さず、ブラジルに順応していったため、イタリア語を話さない。フランシスコ監督はサンパウロ市で生まれ育ち、サンパウロ大学(USP)コミュニケーション学部(EAC)を卒業後、ジャーナリスト兼映画監督として活躍してきた。仕事の一環で4度訪日したことがある。
 ルーツに関心があったフランシスコ監督は、28歳~36歳の時にイタリアに在住し、テレビ制作の傍ら、俳優活動をしていたという。
 フランシスコ監督は第2次世界大戦中に、ブラジルが日独伊の移民を収容していたことを知って衝撃を受け、関心を持ったことから本作品の制作を始めたという。
 同監督にとって、ブラジル南部は多くのイタリア移民を受け入れ、沢山のイタリア人学校があった地で、イタリア移民を収容所送りにしたことは信じがたいもので、ブラジルの仕打ちが受け入れられなかったという。映画制作中、収容所で生活した経験をもつ人から「背中に番号をつけられながら畑で生活していた」と聞いて衝撃だったと話す。
 同作品の中では、イタリア移民で当時、実際にスパイ活動をしていた容疑でロベルト・デ・ロビラント氏が当地で有罪になった事実なども掘り起こしている。

 日本移民についてはマナウス、ベレン、トメアス、クリチバ、サンパウロなど多くの場所で撮影をした。その中でもトメアスに住むウィルソン・タカナカさん(92歳)の話が興味深かったと語った。「ウィルソンさんがいた収容所は、ただ日本人を集めているだけで室内外自由に行き来をしてたと聞いた」と驚きを露わにした。
 現時点で上映会の日程や場所は未定だが「ブラジル日本文化福祉協会(文協)や独伊のコミュニティ等で上映し、より多くの人にこの歴史を知ってほしい!」と意気込み、計画を練っているという。

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