「戦時中のブラジルと日本移民の関係を知ったときショックを受けました」――女優のブルーナ・アイソさんが6月28日、サントス強制退去事件をより知る為、聖市の沖縄県人会館で同事件について詳しい高良律正沖縄県人会長、奥原マリオ純さんと対談を行った。
ブルーナさん(37歳)はアフリカ系の母と日系の父の下に生まれ、聖市で育った。高校卒業後、いくつかの仕事に就いた後、2010年にグローボ・スポーツの司会に。19年に同チャンネルのドラマシリーズ『Bom Sucesso(大成功)』でトシ・ノシムラ役に抜擢され、その後『A Todo Vapor(全速力)』『Terra e Paixão(地と情熱)』と続き、現在は『Mania de Você(あなたのマニア)』に出演中だ。
ブルーナさんは女優業の傍ら、韓国系や中国系の俳優仲間と、アジア系俳優の人権尊重を訴える活動を行ってきた。
サントス強制退去事件についてはかねてからの知人の奥原さんから知らされており、強く関心を持っていた。
ブルーナさんは伯国でこの歴史を知っている人がほとんどいないこと、日本にルーツを持つ自分でさえ知らなかったことに強いショックを覚えたという。
「当時の伯国政府は日本人移民から言語や文化を取り上げました。私たちは過ちを繰り返さないためにも歴史を知らなければならない。これは日系、非日系関わらず重要なことなので、多くの人に知ってほしいです」と話した。
ブルーナさんは、より多くの人にサントス強制退去事件について知ってもらう為、他の俳優らとSNSを通じた啓発活動を行う予定だ。
沖縄県人会と奥原さんは、サントス強制退去事件を含む第2次世界大戦中に行われた伯国政府の日本移民に対する迫害に対して、伯国政府に謝罪請求を行っている。今月25日にその審議が行われる予定となっており、同件に対する注目が高まっている。
サントス強制退去事件は、第2次世界大戦中の1943年7月8日、伯国政府が、聖州サントス市に暮らす日本人移民(多くが沖縄系)とドイツ移民に対して24時間以内の退去を命じたことで発生した。約6500人の日本人移民が巻き込まれ、家財や土地を失った人、家族と生き別れになった人などが多数出た。