世界最大規模の日本文化イベントとして知られる県連日本祭りが12日(金)にサンパウロ市ジャバクアラ区のサンパウロ・エキスポ・エキシビション&コンベンション・センター(Rodovia dos Imigrantes, km 1,5)で始まった。同祭は14日(日)までの3日間開催され、各県人会から提供される郷土料理を目当てに初日から会場は賑わいを見せていた。郷土食などの他に、日本の伝統芸能などの披露や日本文化体験など、さまざまなエリアが注目を集めている。
注目の郷土食エリアでは、午前中からさっそく県人会自慢の郷土食に人だかりが出来ていた。熊本県人会では熊本からブラジルに来た参加している紅蘭亭代表取締役の葉山耕司さん自らが太平燕(たいぴいえん)を調理。太平燕は元々、中国福建省福州の郷土料理で、ワンタンスープの一種。日本でアレンジされ、春雨スープにエビ、イカ、豚肉、白菜、タケノコ、キクラゲなどの五目炒め、揚げ玉子を添えるようになり、熊本市民に愛されるソウルフードとなった。
葉山さんは日本全国を回った経験があるが、海外での販売は初めて。「国外で郷土食を料理することに意義を感じます。日系社会の皆さんをはじめ、ブラジル市民の方々に少しでも郷土文化のことを知ってもらえたら」と意気込みを話した。
福島県人会は、喜多方ラーメンと会津ソースカツ丼を販売する。同県人会の渡辺三男さんは「予想よりお客さんが沢山でビックリ。こんなに列ができるとは思いもしなかった。用意してきた食材が早めに終わっちゃうんじゃないかと心配」と嬉しい悲鳴を上げていた。
県連会長の谷口ジョゼさんは去年、日本祭り実行委員長を務めた。谷口会長は「去年の金曜日と比べても人が多い気がする。天候もいいし、今年はとても盛り上がると思う。今年は来場者数20万人を予想します」と期待を語った。
高齢者エリアでは囲碁やマッサージ、体操などが行われ、疲れを癒すためのお茶が無料配布されている。
日系企業による日本文化ワークショップや、来場者を巻き込んだ多彩なアトラクションも用意されている。
ポップカルチャーを扱う「FJTAON」エリアでは、去年同様アーティストによる作品販売ブースや短冊、カラオケが行われ、「アキバスペース」ではゲーム体験などが催され、若い来場者を中心に賑わいを見せていた。
毎年来場している西丸ローザさん(73歳、2世)は「どの料理も美味しくて選ぶのが大変。ショーを見るのも、屋台で買い物をするのも大好き。普段会わない友達とも再会できるから、とても楽しい」と話した。リズム体操のプログラムに出演する深谷加容子さん(ふかやかよこ、72歳、奈良御所市出身)は「食事を楽しんで、お祭りを満喫してきます」と笑顔で語った。
□サビアの独り言□
県連日本祭り会場までの無料バスは、メトロのサンジューダス駅近く(rua Fagundes Filho, 134)から出ている。日本祭りの赤い法被を着たボランティアが要所に立ち道案内をしてくれる。ただし、12日昼には本数が少なめで、列が長くなっていた。待つのが嫌な人は、ジャバクアラ駅まで行ってタクシーで「São Paulo Expo」(Rodovia dos Imigrantes, km 1,5, São Paulo)まで行くのも手か。歩いても15分ほど。行きは下り坂だが、帰りは上り坂になるので要注意。