「ふるさといいもの展」初開催=日本から39県109人が参加=ブラジル事業者に日本の魅力PR

各都道府県の特産品を試食試飲する企業関係者ら。商談を介して参加者らは日伯間の経済交流の可能性を感じた

 ブラジルの事業者向けに日本各地の特産品を紹介するイベント「ふるさといいもの展」が12~14日、サンパウロ市のサンパウロ・エキスポセンター2階で初開催された。同イベントは同日同会場で開催された世界最大級の日本文化イベント「県連日本祭り」に合わせて実施された。日本から39県の事業者109人が参加し、日本政府や現地日系企業含め計49ブースが出展。ブラジル企業関係者を招待し、日本産品の魅力をアピールし、日伯間の経済交流を促進した。ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)、日本貿易振興機構(JETRO)、日本農林水産省の主催。国際協力機構(JICA)、在サンパウロ総領事館、在ブラジル大使館が後援した。
 山梨県のブースでは、同地産日本酒「七賢」「太冠」や、お茶、炊き込みご飯など県内企業が生産している商品の紹介を行った。同イベント参加のため初来伯した公益財団法人やまなし産業支援機構の末木淳さん(58歳、山梨県)は、「日本祭りの規模や、ブラジルで日本文化がこれだけ浸透していることに驚きと感銘を受けました。現地企業の方とも商談させていただき、ビジネス発展の可能性があることを確信しました。今回のイベントに参加したことで、ブラジルや日本、山梨、県人会などの日系社会が揃って幸せになるためには、民間企業を巻き込んだビジネスや心の交流を行っていく必要があると感じました。このような機会をいただき本当に感謝しています」と語った。
 福島県ブースではブラジルの日本産品輸入会社の川添博さん(76歳・長崎県・ニッポンベビーダス有限会社社長)らが日本酒「弥右衛門」などを紹介。川添さんは「日本にいいものがあることはもちろん知られていますが、ブラジルでそれを実際に体験できる機会は少なく、今回の様な機会を作っていただけたことには本当に感謝しています。ブラジル側事業者として多くの日本側事業者と面識が得られたことは非常に助かります。今後は消費者を交えたイベントに発展していってもらえればより有難い。今後も日伯経済交流が深化するよう尽力していきたいです」と語った。
 来場した内村カチア明美さんは「日本の素晴らしい商品を実際に体感する絶好の機会。こんなに日伯経済関係の促進に良いイベントは他にはないと感じました」と述べた。
 会場では講演も行われ、「酒サムライ」として知られる日本酒専門店「アデガ・デ・サケ」オーナーの飯田アレシャンドレ龍也氏、同「メガサケ」オーナーの太田ファビオ氏が日本酒について、森パチ・アケミ(シャゼリア森)さんが日本茶について講演した。
 各ブースには日本語とポルトガル語の通訳者が配備され、商談のサポートを行った。
 13日には日本祭り会場内で日本からの訪問団とブラジルの県人会や日系社会代表、現地企業との懇親会が行われた。
 懇親会では、いいもの展の実行委員長を務めた市川利雄氏が挨拶に立ち、「今回のイベントを無事成功させることができたのは、日本側関係者を始めとする多くの方の協力のおかげ。心から感謝し、これからより日伯経済および交流が促進されるよう尽力してきたい」と述べた。
 また、日系社会代表としてブラジル日本文化福祉協会評議員会長の山下譲二氏が挨拶に立ち、「ブラジル日系社会は今、世代交代の時期。そして日系社会はブラジル社会も巻き込んだ交流を行う段階にきています。このいいもの展がその良いきっかけになると確信しています」と述べた。
 JICAブラジル事務所の宮崎明博所長は、「今回のイベントに合わせて40の都道府県に協力いただきました。農林水産省、国税庁、Jetro、日系社会にも協力いただいたおかげで開催できました」と感謝を述べた。
 農林水産省輸出・国際局振興地域グループ国際調整官の川上秀雄氏は日本を代表して、「今回ブラジルに初めてきた日本人参加者が多いと思います。私も含めてブラジルの日本マーケットの大きさとその可能性の大きさに驚いたと思います。今回のイベントをきっかけに、地球の反対側同士であるブラジルと日本を今以上にどう繋げていくかを考えましたが、県人会と母県の連携強化が一つの答えだと思います。この絶好の機会に縦と横のネットワークを作り、より日伯交流が経済的にも活発になるよう願っております」と述べた。

 

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