マリリア日系文化体育協会・ソフトボール隊員の飯田康史です。任地のマリリア市は、サンパウロ市から北西へ約450km離れた人口約23万人の地方中核都市です。所属協会は日本語学校の運営や野球・ソフトボール・柔道等のクラブを擁し、日本文化紹介やスポーツを通じた青少年育成等の活動を行い、地域社会に貢献しています。
ここマリリア市では野球・ソフトボール文化が定着し、日系人指導者のもと、キューバ人・ベネズエラ人といった国外出身指導者らを有する中、男女各100名前後の選手が在籍しています。
多くの在籍者を有する要因として、地域に開かれた「ソーシャルプロジェクト」の実施が挙げられます。所属協会が行政や企業からの支援を受けることで、地域の子どもたちを無償で受け入れることができています。
野球部門では、10年前にWBCの対日本戦で躍動した選手、アメリカのMLB傘下に所属した選手、日本のNPBにも在籍していた指導者らがいます。
ソフトボール部門では、代表チームの監督・指導者・選手らの在籍とアメリカのソフトボール強豪大学への進学実績が複数あることから、たくさんの女の子たちがこれらを夢見て努力しています。
多くの異文化が融合した野球・ソフトボール文化の中、私は女子ソフトボール部門で活動をしています。今回は活動の中で特徴的に感じた団結力・地域の力に関するエピソードを二つご紹介いたします。
(1)球場が遊園地に!まち最大のイベント・ジャパンフェスタ
所属協会を代表するこのイベントは、毎年4月末に4日間開催され、球場7面を有する広大な野球・ソフトボール場で行われます。移動遊園地や地域の有志団体らの出店業者で賑わい、延べ7万人が来場されます。物販や運営を協力しあって多くの人を喜ばせるこのイベントは、ブラジルならではの熱気と関係者の団結力・地域の力を強く感じました!
(2)まさにファミリー!アルゼンチン・バス遠征
アルゼンチンの大会へ二つのカテゴリーチームの引率支援で業務出張に行きました。チーム費用の大半を、何百もの手作りピザを販売することでカバーしました。また、所有バスで2千kmもの距離を片道34時間かけて移動し、会場内にある併設施設で自炊し宿泊することで費用を抑える工夫がなされました。全てのことをみんなでやるんだ!という気概に刺激をもらいました。大会は見事2チームとも優勝し、貴重な体験を地域の皆さんと分かち合うことができました!
昨今、コロナ禍の影響もあり、日本でも地域内のつながりの希薄化はまさに進んでいると思います。このような社会情勢の中、日系団体が多くの地域住民を巻き込んだイベントを当たり前のように行っていることに、とても力強さを感じます。
人種のるつぼと言われるブラジルの移民・多文化共生社会の中で、より際立つ「団結力・地域の力」、何か人の心を強く動かす大事な精神・マンパワーがあると感じています!
2年間の任期、たくさんの異文化に触れてたくさんの価値観を学びながら、この地域に少しでも貢献できたらと思います。