携帯奪うも2秒後に犯人轢死=車道に飛び出しバスの下敷きに

携帯電話を強奪した直後、犯人はバスに轢かれて死亡した(20日付バンジ・サイトの記事の一部)
携帯電話を強奪した直後、犯人はバスに轢かれて死亡した(20日付バンジ・サイトの記事の一部)

 サンパウロ市西部のラパ地区で19日、17歳の少年が71歳男性から携帯電話を盗んだ直後に、バスに轢かれて死亡する事件が発生した。少年は病院に緊急搬送されたが助からなかった。この一部始終が防犯カメラに捉えられており、衝撃的な場面がSNS上で拡散され、見る者に恐怖を与えている。19日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 一つ目の映像には、路上を歩きながら携帯電話で会話する高齢男性の様子が映っている。それを見ていた通りすがりの少年が、被害者の隣で一瞬立ち止まり、その携帯電話を奪って走り去った。
 次の場面で少年は、バスが来ていることに気付かずに車道に飛び出し、はねられて車両の下敷きになり、そのまま数メートル引きずられる様子が捉えられていた。携帯電話を奪ってから轢かれるまで、わずか2秒の出来事だった。
 少年は肋骨骨折と肺損傷を起こし、移動式緊急医療サービス(SAMU)の救急車でブラジランジア公立病院へ搬送されたが、心肺停止で死亡が確認された。
 携帯電話を盗まれた被害者ルイス・コスタさんは捜査に対し、少年は単独犯ではなかったと語った。犯人とバスとの接触事故直後に、他の2人の男に脅されたと明かした。
 18日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、ブラジル国内では携帯電話の盗難や強奪の被害が深刻化しており、そのペースは1分間に2台にも及ぶという。
 同日に発表されたブラジル治安フォーラム(FBSP)の年次報告によると、2023年には全国の警察署に登録された携帯盗難総数は93万7294件事件だった。国内の発生率は人口10万人当たり465・5件で、発生率が最も高い50都市のうち、15都市がサンパウロ州にある。
 最も狙われたブランドはサムスン社で37・4%、次いでアップル社が25%、モトローラ社が23・1%だった。アップル社のiPhoneは国内市場の1割を占めるに過ぎないが、盗難被害の4件に1件を占めている。盗まれた携帯電話はその後、振込詐欺やバーチャル詐欺などの他の犯罪の入り口として使われていることが指摘されている。
 FBSPのプロジェクト・コーディネーター、ダヴィジ・マルケス氏は、「携帯電話は、そのデバイス価値だけでなく、携帯電話からアクセスできる個人情報、銀行情報、ソーシャルネットワークにも価値を持つ。これはパンデミック以降、さらに深刻化し、加速している。財産犯罪の犯罪力学における真のパラダイムの変化として注目されている」と説明した。

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