都市間移動を目的とするプロジェクトの開発に取り組むために設立されたエンブラエルの子会社、Eveエア・モビリティ社は21日、「空飛ぶ車」として機能する電動垂直離着陸機(eVTOL)の実物大試作モデルを初公開した。製造はサンパウロ州内陸部のタウバテ市で行われる予定で、試作モデルの動画は英国で開催された第45回ファーンボロー国際航空ショーで初公開された。同日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
同社によると、同日公開された車両は今後、「飛行能力から安全機能まで、機体の全ての運用と性能面を慎重に評価する」ことを目的とした「厳格な一連のテスト」を受ける必要があるという。
eVTOLは、垂直飛行には八つの専用プロペラ、巡航には固定翼を使用。これらのコンポーネントの位置は飛行中も変わらない。また、電気推進システムを搭載することで、飛行中の高いパフォーマンスと安全性を確保する。このモデルは、効率性、低運用コスト、低騒音、部品点数の少なさ、最適化された構造やシステムといった利点も持ち合わせているという。
また、配電システムの供給にはASEテクノロジー社、機体の内装デザインと製造にはディール・アビエーション社を選んだことも明らかにした。
この機体には既に、世界中のヘリコプター運航会社、航空会社、リース会社、さらにはフライト・シェアリングプラットフォーム向けに約3千台の注文があり、同社は2026年末までの運用開始を目指している。
EveはeVTOLを都市内の輸送に使用することを想定している。同社によると、リオ市西部に位置するビーチ沿いの観光地、バラ・ダ・チジュカ地区から同市アントニオ・カルロス・ジョビン(ガレオン)国際空港までは、バスならば1時間20分かかるが、空飛ぶ車なら10分程度で移動が可能で、二酸化炭素排出もゼロだ。同社が実施した調査によると、この間の運賃は99レアル(約2750円)になる見通しだという。