「日本とブラジルつなぐ宝物のような存在に」=ブラジル初ライブの「ALI」

 ラテンアメリカ最大級のアジア系ポップカルチャーイベント「アニメ・フレンズ」が18~21日、サンパウロ市で開催された。4日間で延べ14万人が訪れたという同イベントの大トリを務めたのは日本のバンド「ALI」だ。同バンドは人気アニメ『呪術廻戦』のED曲「Lost in Paradise」などで知られ、またメンバー全員がハーフという特色を持つ。ギター担当のCÉSAR(19歳)は母親がブラジル人だ。ライブ前18日に行われた記者会見でブラジル初ライブに対する想いなどについて聞いた。

Leo

 「ALI」のメンバーはボーカルギターのLeo、ベースのLUTHFI、ギターのCÉSARの3人。バンド名の由来は米国人ボクサー・モハメド・アリからで、「彼の生きざまのように、何度負けても音楽を続けたい」などの想いが込められているという。
 Leoはスペイン、イギリス系、LUTHFIはインドネシア、オランダ系の血を引く。多国籍なメンバー構成が楽曲に与える影響についてCÉSARは「それぞれ聞いてきた音楽が微妙に違うので、それが曲作りにも作用していて、まったく新しいワールドミュージックが完成しているのかなと思います」と話した。CÉSARの母親はリオ出身のサンバダンサーで、CÉSARも幼いころからブラジル音楽を聴いて育った。
 人気アニメの曲を担当することについてLeoは、「ブラジルに来られたことも、皆さんと会えていることも、曲を任せてもらえたから。本当に感謝しかないです。アニメ・漫画のような喜びを味わっています」と話した。

LUTHFI

 アニメ『ザ・ファブル』第二期のED曲「BEYOND feat. MaRI」は、在日ブラジル人女性ラッパー・MaRIと共に手掛けた。Leoは「CÉSARやMaRIさん、サポートメンバーでトロンボーン奏者のYOSHIOさんもブラジルにルーツを持っていて、こんなにブラジルと繋がりのあるバンドは他にはないと思うんです。今回ブラジルでは2回ライブをしますが、『もう一回ALIを呼んでくれ』って言われるくらいほんっとうに最高のライブをやって、アニメ・フレンズを始めとするブラジルのフェスのレギュラーになりたい。そして日本とブラジルをつなぐ宝物のような存在になりたい」と語った。
 ブラジルの好きなアーティストについてLUTHFIはレゲエバンド「Natiruts」を挙げ、Leoはブラジル人ラッパー「EMICIDA」、同女性ラッパー「Flora Matos」を挙げた。

CÉSAR

 幼いころの夢がサッカー選手だったというLeoは、サッカーと音楽には「熱狂を作りだす」共通点があると語り、「本場に来られたことが嬉しいです」と語った。
 ブラジルファンとの交流を通じてブラジル人に対する印象も変わった。CÉSARが「日本で僕の周りにいるブラジル人はハイテンションな人ばかりなんですけど、こっちの人たちは落ち着いていて、礼儀もちゃんとしてる。僕の中のブラジル人のイメージが変わりました」と語ると、Leoは「アニメを求める人には精神的な渇きを持った人が多いと思うんです。アニメを通じて精神的なものへの理解があるから、日本のカルチャーなどに対して深い尊敬を持って接してくれる。でも、少し恥ずかしいです。なんかちょっと申し訳ない。そんな尊敬に値する男じゃないって…嬉しいですけどね(笑)」と語った。
 21日のライブではアニメソングダンスグループ「リアルアキバボーイズ」とのコラボや、ポルトガル語楽曲「Mas que nada」を披露し、見事に会場を沸かせた。

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