人権市民権省の恩赦委員会(エネア・アルメイダ委員長)は25日、戦中戦後の日本移民コミュニティー迫害に対する政府謝罪の審議を行い、評議員全員が賛成し、同委員長はその場で謝罪した。その様子は翌日、翌々日の日本の新聞やテレビで大々的に報道され、林芳正官房長官も26日の記者会見で「日系団体などの申し立て人側にとって満足のいく結果だったと理解している」とコメントするなど大きな反響を呼んでいる。
読売新聞は26日付夕刊1面トップで《ブラジル、日本人移民ら迫害を「人権侵害」と認め初の謝罪…戦後79年経て名誉回復》との見出しで、「戦後80年近くを経て、世界最大を誇る日系コミュニティーの名誉回復が図られた」と報じた。3面にも解説記事を掲載するなど、今回も手厚い扱いをした。
NHKは同日付《ブラジル政府 戦中・戦後の日本移民への虐待行為など認め謝罪》(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240726/k10014524651000.html)で、ブラジル沖縄県人会の島袋栄喜元会長に取材し、「日本の移民は犯罪者でも泥棒でもなく、善人で働き者でブラジル社会に貢献した人たちでした。このようなことを二度と起こしてはならず、未来の世代のために語り継いでいくべきです」と語ったと紹介した。
朝日新聞は26日付で《「父が生きていれば」 ブラジル政府が迫害を謝罪 日系人ら涙と喜び》との見出しで、2週間前に91歳で亡くなったサントス事件の被害者である父親に関して、息子の「父が生きている間に謝罪してほしかったが、今ごろ天国で喜んでいるだろう。81年越しに浮かばれた」という言葉を報じた。
同紙は当日の速報だけでなく、連載《迫害された日系移民 ブラジルで何が起きたか》として、第1回《「踏め」と命じられた昭和天皇の写真 移民たちは拒否し収監された》、第2回《「24時間以内に退去せよ」 すべてを失った6500人の日系移民》、第3回《迫害の過去は、なぜ闇に 日本からの移民が抱えた「恥ずかしい歴史」》を掲載。謝罪請求運動を始めた奥原マリオさんと共にアンシェタ島を訪れ、同島に祖父と父が収監された山内晃さんを聖州トゥパンに取材するなど詳細に報じた。
琉球新報は27日付朝刊で《日本移民迫害を謝罪 ブラジル政府「許しを」》との見出しで、宮城あきらさんの「サントス事件の真実をよみがえらせる歴史的瞬間に立ち会えた」との言葉を紹介し、《「てぃんさぐぬ花」と「島人ぬ宝」の演奏で歴史の清算を祝った》と独自取材の記事を報じた。社説に加え、中面の関連記事でも当日の様子を詳報した。
沖縄タイムスは27日付朝刊1面トップで、共同通信配信記事《日本人迫害 ブラジル謝罪 戦中に県人ら強制退去》と大々的に掲載し、中面でも《政府謝罪 先人に報告 名誉回復願い涙の三線》と詳報した。
時事通信は26日付《日本移民、闇の歴史に光 ブラジル政府、迫害を初めて謝罪》(https://news.yahoo.co.jp/articles/b4c00248bb6845c2f7619ed0e0f7ca017e1eda16)との見出しで、「戦争の混乱で歴史の闇に葬り去られてきた蛮行に、戦後79年で光が当たることになった」と報じた。
TBSニュースは26日付(https://news.yahoo.co.jp/articles/4b2b969bd8efc6f67f54b9ca8f7cf18661870ab5)で《103歳になる被害者「これ以上の争いはいらない」ブラジル政府、戦中の日系人迫害問題で初の謝罪》と見出しで、被害者の当山正雄さん(102歳)に取材し、「家に戻れなかったことは本当に悲しかったです」などのコメントを紹介した。
日本テレビニュースでも《第二次世界大戦で日本人移民迫害 ブラジル政府、初の公式謝罪》(https://news.yahoo.co.jp/articles/c83310ea443e9a9d7d4f4b292895fd07d48858d1)と報じた。
一方、林芳正官房長官は26日の記者会見で、第2次大戦に関わるブラジル日本移民への迫害を巡り、連邦政府が公式に謝罪したことについて、「日系団体などの申し立て人側にとって満足のいく結果だったと理解している。良好な2国関係の基礎に日系社会があり、これまでも両国の架け橋として活躍していただいた。引き続き、日系社会との連携を強化したい」との考えを示した。